かつては、親戚や友人、仕事相手にも送っていた年賀状。しかし、携帯電話やSNSの普及と共に年賀状を出すことへの負担が取り沙汰され、売り上げは減少。近年では「今年限りで年賀状を辞退する」という「終活年賀状」も話題になった。
「やめたいと思いながらも、ついつい続けてきましたが、今年こそ出すのをやめるつもりでいる」(60代男性)
「もう会うこともないであろう相手は、向こうだって“面倒だからやめたい”と思っているはず。こちらから出さなければ、かえってホッとするのでは」(70代男性)
こうした声も聞こえてくるなど、今年も“年賀状離れ”は避けられないとみられていた。ところが実際は、風向きが変わってきているという。『後悔しない「年賀状終活」のすすめ』(カナリアコミュニケーションズ)の著者・澤岡詩野氏が語る。
「年賀状は年々減少傾向が続いてきましたが、今年は例年に比べると売れ行きが好調です。コロナ禍が長引くなかで、会えない友人や知人、故郷の幼なじみなどに、年賀状で挨拶しようと考える人が増えているからだと思われます」
今年の年賀状は「相手がどんな存在か」を深く考える絶好の機会になるという。
「終活年賀状を出すか迷っているなら、儀礼的に年賀状を出すことが自分にとってストレスになっているだけの相手なのか、“大事な仕事をした同僚”や“世話になった上司”など、意味のある相手なのか考えるべき。人生を振り返る機会にしてほしいです。
年賀状をやめていた相手でも、今年のコロナ禍でふと“いまどうしているのかなぁ”と思ったら、再び年賀状を出してみるのもいいと思います。その際には“コロナ禍でつらい思いをしてないだろうか”と労わる文言を添えるとよいでしょう。一度やめたからといって難しく考えず、久しぶりに電話した時に相手にかけるような一言で十分です」(澤岡氏)
出す出さないという“形”ではなく、自分の気持ちに素直になりたいものだ。
※週刊ポスト2020年12月25日号