2018年の酒税法改正により、2026年10月までに段階的に「ビール」「発泡酒」「第3のビール(新ジャンル)」の税率が一本化されていく。ビールは減税、発泡酒と第3のビールは増税ということになるが、こうした動きに対し「ビール偏愛主義」をこの27年貫いてきたネットニュース編集者の中川淳一郎氏(47)が思うところを述べる。
* * *
これまで「ビール系飲料」は、麦芽の配合率によって税率が異なっていました。麦芽の配合率が高ければ高いほど酒税が高かったのです。65%以下であれば「発泡酒」で、25%以下であれば「その他リキュール」になる。その間隙を突き、1994年にサントリーが発泡酒の「HOP’s」350mlを180円で発売しました。
その頃、350mlのビールが210円ほどしたのですが、その安さは衝撃的で、以後、各社が発泡酒の開発に乗り出します。キリンは「淡麗」を出すなどして対抗し、「安いビール」として発泡酒は一世を風靡します。
当時シェアNo.1だったアサヒビールは、当時の社長が「ビールのまがいもの」などと述べ発泡酒を批判していたものの、結局は消費者の格安志向に抗えず、発泡酒を発売します。
サッポロはさらに麦芽比率が低くエンドウ豆を使った「ドラフトワン」を2004年に発売。このあたりから「第3のビール」という呼称がつき、その後「新ジャンル」と呼ばれるようになります。
日本のビール各社は「ビールの税金は高すぎるんだよ!」と悶々としていたと思われますが、「なんとか消費者に安くおいしいビールを届けたい」と頑張っていた。税金の高さにより、麦芽の配合比率を下げた「ビール風飲料」を市場に出すことに逡巡はあったことでしょう。このことは、当時広告会社社員として、ビールメーカーとも付き合いがあった私はよく聞いておりました。
そうこうする内に「発泡酒」「新ジャンル」がその安さと味わいの工夫をもって、「ビール系飲料」の中でシェアを高めるようになります。すると、財務省は「税率を同じにする」と言い出すではありませんか!