70歳を過ぎたら、それまでの人生で捨てきれなかったものを手放す時だと言えるのかもしれない。この1年続いたコロナ禍では、自粛生活のなかで自家用車がなくても生活に不便がないことに気付いた人は多い。都内在住の70代男性はこう言う。
「普段の買い物はネットスーパーで、外食もデリバリーを利用することが増えました。ふと気付けば、ガレージの車を動かす機会はめっきりと減り、埃をかぶっていました」
ファイナンシャルプランナーの森田悦子氏は、自家用車を手放すメリットをこう見る。
「高齢ドライバーの運転ミスによる事故が社会問題化するなかで、自家用車を手放したり、免許を自主返納したりすることは、事故リスクをなくせる点でも価値があります。都内で1500ccクラスのコンパクトカーを所有するとかかる年40万円程度の固定費も浮かせられるうえに、免許返納で得られる運転経歴証明書で受けられる定期預金の金利優遇、タクシーの10%割引も魅力でしょう」
免許を返納しないケースでも、車を手放して得られる楽しみはあるようだ。
「友人の中には電気自動車や完全サポートカー時代が近いと考え、最新車種をレンタカーで乗ったり、趣味の外車を短期間で乗り換えるリースサービスを使って楽しんでいる人もいます」(74歳元証券マン)
車を手放した際の売却益を、カーシェアリングやタクシーの利用代金に充てることも可能になる。
※週刊ポスト2021年4月9日号