衆議院の任期満了を秋に控え、政権周辺で解散に関する発言も多くなってきた。衆議院解散となれば、為替相場はどう影響を受けるのだろうか。FX(外国為替証拠金取引)などのカリスマ主婦トレーダーとして知られる池辺雪子さんが、解散総選挙による為替相場への影響を考察する。
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衆議院が解散されるかもしれないという話が出ていますが、衆議院議員の任期満了は10月21日までなので、今年の解散は特に不思議ではありません。解散時期の予想では、例えば東京オリンピック・パラリンピックの前か後かという話もありますが、個人的にはオリンピック前の解散は可能性が低いと考えており、オリンピック後に解散するならオリンピックでの成果を掲げて選挙に臨むという菅義偉首相のシナリオもあるかもしれません。
現段階で4月中の解散は考えにくいですが、「内閣不信任決議案が提出された場合は衆議院解散の大義になり得る」との認識を菅首相も認めているため、早期解散の可能性も視野に入れておく必要があるでしょう。
それでは今回の衆議院解散がマーケットにどれほどのインパクトを与えるのか。為替相場に対しては、そこまで大きな影響はないと見ています。ただ、想定しておくべきは野党・民主党が議席数を伸ばすケースでしょう。現段階では民主党が過半数の議席をとるというのは可能性としてかなり低いシナリオだと思いますが、多くの投資家にとって民主党政権といえば、1ドル=80円割れまで円高が進んだことが頭をよぎります。
民主党政権下で円高は大きく進行、その後、自民党が政権を奪取して、大規模な金融緩和を行いドル円は1ドル=100円を回復しました。こうした経緯があるため、投資家としては民主党が議席を伸ばした場合、市場がどう動くのか注視する必要があるでしょう。
自民党は、支持基盤でもある輸出企業・大企業への影響も踏まえて、なるべく円安を演出したいと考えているはずです。そうしたこともあり、政権運営のうえで為替レートの動向には敏感です。
中でも1ドル=100円の水準は強く意識されているようで、ドル円価格が円高に動き、そこに近づくと、当局から為替レートを牽制するような発言が出ることも少なくありません。そうした牽制による相場反発を見越し、1ドル=100円近辺でロングポジションを保有し、中長期的なトレードを企図する投資家もいるかもしれません。
もちろん、こうした相場のトレンドを読み解くことは大切ですが、それ以上に投資で一番重要なことは資金管理です。私が長期で利益を残し続けてこられたのも、資金管理を丁寧に行ってきたからこそと自負しています。また相場のトレンドをつかめたとしても、いつエントリーするのか、そしてどのようなリスクを取りながら相場に向き合っていくのか、といった様々な要素が、収益を左右することを忘れないようにしてください。
【PROFILE】池辺雪子(いけべ・ゆきこ):東京都在住の主婦。若い頃から株や商品先物投資を学び、2000年からFX投資を始め、これまでに8億円以上の利益をあげている敏腕トレーダー。2007年春、脱税の容疑で起訴、同年夏、執行猶予刑が確定。その結果、所得税、延滞税、重加算税、住民税、罰金(約5億円)を全て即金で支払う。2010年9月に執行猶予が満了。現在は自らの経験をもとに投資、納税に関するセミナー、執筆活動を行っている。トルコリラ/円、ドル/円、他通貨、日経平均株価などの値動きに関する詳細な分析を展開する「池辺雪子公式メルマガ」も発信中(http://yukikov.jp/)