マネー

生活保護経験者のリアル 受給開始後のつらい日々と出直せたきっかけ

人生のピンチで生活保護はどう役立った?(イラスト/あきばさやか)

人生のピンチで生活保護はどう役立った?(イラスト/あきばさやか)

 コロナ不況で生活が困窮している人たちが増えている。そうした人たちの最後のセーフティーネットとなるのが「生活保護」だが、実際に生活保護を利用すると、どんな生活を送ることになるのだろうか。文筆家・漫画家の小林エリコさんが生活保護を受けたのは、自殺未遂で実家に戻ったのち、再びひとり暮らしを始めた30才の頃だという。

「当時は精神科のクリニックに通っていたのですが、その病院にいたソーシャルワーカーのかたに『仕事もなく、実家からの仕送りも途絶えることになり、収入が障害年金だけになってしまう』と相談したところ、生活保護をすすめられました。

 生活保護の申請時には、預貯金や所持金の合計が、1か月分の生活保護費未満でないといけないため、「受給が始まると、なかなか買えなくなる電化製品を、受給前に買っておくといいよ」とすすめられ、テレビとブルーレイレコーダーを買いました。後で、もっと生活に必要な冷蔵庫にしておけばよかったと、少し後悔しましたが(笑い)。その後、所持金が5万円以下になったところで、申請に行きました」(小林さん・以下同)

 小林さんの場合は、そのソーシャルワーカーに同行してもらったため、申請自体はスムーズにできたという。

「私は障害者でもあるため、申請を出しやすかったかもしれません。ただ、預貯金のチェックや扶養照会などの手続きがあり、その後、1週間は何度も市役所に通いました。よく問題になる扶養照会では、私の場合も親やきょうだいに連絡がいきましたが、家族から『扶養できない』という回答がきたため、問題なく申請できました」

ボランティアとして働き始め、状況は変化

 こうして始まった生活保護の受給額は、月12万円ほど。そこから障害年金の6万5000円が引かれ、その差額が生活費としてもらえることとなる。ところが、ここからがつらい日々の始まりだったと小林さんは言う。

「担当のケースワーカーさんからは人権侵害まがいの暴言を吐かれ、生活保護課では書類を投げつけられました。こんなことが日常茶飯事なんです。一気に人間じゃなくなった感じがしましたね。まだ30代で、このまま一生、生活保護を受けるのは嫌だと思っていたので、社会復帰をするために、相談にものってほしかったのですが、結局、何もしてもらえませんでした。本当に、この頃がいちばんつらい時期でした。働けないし、何より人とのかかわりが途絶えることが怖かった。朝起きて行くところがない、友達とも会えない、とにかく孤独でしたね」

注目TOPIC

当サイトに記載されている内容はあくまでも投資の参考にしていただくためのものであり、実際の投資にあたっては読者ご自身の判断と責任において行って下さいますよう、お願い致します。 当サイトの掲載情報は細心の注意を払っておりますが、記載される全ての情報の正確性を保証するものではありません。万が一、トラブル等の損失が被っても損害等の保証は一切行っておりませんので、予めご了承下さい。