「急に連絡したのはAさんに金銭面助けてもらえないかなと思って、、奨学金の返済滞納しちゃってて、親は自宅療養中で頼れないしで」
これは、奨学金返済に苦しむ社会人2年目のOL、久美さん(仮名・23才)が知人男性・Aさんに送ったLINE。コロナ禍以降、失業や休業に追い込まれ生活に困窮する人は少なくないが、彼女の場合はコロナの影響に加え、奨学金返済という重い負担を背負っている。
教育のローンである奨学金は、そのほとんどが利子も付けて返済しなければならない“借金”だ(一部には返済不要の給付型奨学金もある)。しかし、大学生にはその意識が薄く、社会人になって初めて負担の重さに気付く人も多い。久美さんもその一人だ。
「都内の私立大学に入学したのですが、学費も生活費も親に頼ることができなくて、入学時に50万円、毎月12万円の奨学金を借りました。月12万円は、私の奨学金の借り入れ可能額としては最大です。返済しなければいけないというのは分かっていたのですが、その時は “借金”という意識はあまりなくて……。卒業後の返済額は毎月約3万円ということだったので、これくらいなら返せるかなと思い、特に深く考えず借りてしまったんです。
でも、大学卒業後に事務職として就職した会社の給料は、手取りで月13万円程度。返済分3万円と6万円の家賃、2万円程の光熱費などの固定費を払うと、ほとんど手元には残りません。もちろん趣味や好きなことにお金は使えず、ギリギリまで食費を切り詰めてなんとか生活している状況でした」(久美さん、以下同)
さらに、コロナの影響などで失業に追い込まれ、久美さんの生活は一層困窮する。
「毎月の収入が無くなって、今はわずかな貯金を切り崩して生活し、日雇いの派遣に登録したり、バイトの面接をして仕事を探しています。奨学金の返済も厳しくなって、今は4か月分、合計12万円程滞納している状況です。学生時は意識していませんでしたが、奨学金の返済総額は600万円、返済期間は20年続きます。社会に出て初めて、多額の借金を抱えているということを、身に染みて感じてました」