結婚と年収は切っても切り離せないもの。子供を産み育てるつもりならなおのこと、世帯年収がどうなるか、気になるところだ。結婚後も夫婦で働き続けるケース、あるいは妻が専業主婦となるケースなど、そのパターンは様々だろうが、夫婦どちらか1人が働くよりも、2人で働いたほうが世帯年収は高くなるだろう。そうした中で、夫が妻に「収入アップ」を要求するとどうなるか──。
「今からフルタイム勤務は難しい」
30代の女性・Aさんは、夫と3歳の息子、昨年生まれたばかりの娘の4人家族。週3回電話対応のアルバイトをしているが、昨年、金融機関に勤める夫から、「フルタイムで働けないか。手取りで30万、年収400万円くらいならどうにかなるだろう?」と収入アップを“打診”された。Aさんは「結婚当時の話と違う」と困惑する。
「知り合ったのは東京で、結婚は5年前です。夫の会社は転勤もザラで、東北地方に異動というタイミングで結婚しました。彼についていくため、私は正社員で働いていた会社を辞めたんです。当時、夫は『パートで月5万円くらい稼いでくれればいい』と調子の良いことを言っていたのですが……」(Aさん)
現在、家事や育児はAさんが9割以上を担っていることに加え、キャリアにもブランクがある。さらには今後も夫の転勤が十分予想されることから、Aさんは「今からがっつりフルタイム勤務で働くのは難しい気がする」と言う。
「夫の会社の業績は低迷しているし、コロナ禍で残業が減っているので、今後の収入が不安になる気持ちはわかります。自分の収入が上がらないから、妻に稼いでもらおうという理屈もわかる。それでも夫だけで年収500万円ほどあって、生活はできています。
私だって働きたい気持ちはありますが、だったら結婚する時に単身赴任してもらって、私は前の会社でキャリアを積んだほうが絶対良かった……。仕事にブランクのある主婦が、年収400万円は厳しいと私が言うと、夫は『やってみないとわからない』という一点張りで、『世帯年収1000万円ぐらいにしたい』と言うのです。確かに、子育て中でも働きやすい会社はあるかもしれませんが、小さい子供を2人抱えた中でそんないい条件が見つかるものなのか。夫の口ぶりからは、『自分が家事と育児をもっとがんばる』という気概もなさそうですし……」(Aさん)