敷地内のシャッターや壁への落書き、ゴミ不法投棄などの迷惑行為は対処が難しい。直接注意すれば新たなトラブルに発展するリスクがあるが、かといって問題をそのまま見過ごすわけにはいかない。警告文を貼るなどの間接的な対策で、有効な方法はあるだろうか。弁護士の竹下正己氏が実際の相談に回答する形で解説する。
【相談】
私の家は川沿いにあり、何者かが塀などにスプレーで落書きをしています。自粛の鬱憤でしょうか、川でバーベキューをした人たちが落書きをしているようです。さらに家の周りには、ゴミも散乱。注意喚起のため、立て看板を設えようと考えているのですが、どのような警告文などを掲げれば、有効となりますか。
【回答】
スプレーによる塀などへの落書きは、被害に遭った人だけではなく、町の景観を著しく傷つける行為であり、見るだけで閉口します。
簡単に消せるものであればまだしも、洗い落とすのが難しいスプレーもあります。仮に復原できたとしても、大変な費用が掛かるような場合は美観を損ねた上に、塀としての効用も失わせている行為だといえます。よって、刑法261条の「他人の物を損壊し、又は傷害した」ことにより、3年以下の懲役、又は30万円以下の罰金、もしくは過料で処罰される器物損壊罪になります。
ただし、この犯罪は親告罪であり、被害者が告訴をする必要があります。もし、スプレーをかけたのが建物の壁の場合は、建造物等損壊罪として懲役5年以下で処罰されることになり、告訴の必要はありません。簡単に消せて、悪質な落書きでもない場合には、塀の効用を失わせたとまではいえませんが、それでも軽犯罪法により、みだりに他人の家屋、その他の工作物を汚した者として、拘留、または過料で処罰される犯罪になる可能性もあります。