長引くコロナ禍の影響をもっとも強く受けている業種のひとつが飲食店だ。今年に入ってからも全国規模で緊急事態宣言、まん延防止等重点措置が継続的に出されており、時短営業や酒類の提供中止を要請され、売上は激減。従業員に出勤調整をしてもらうなどで、なんとか凌いでいる店もあるが、ここに来て閉店せざるを得なくなった店も数多い。特に東京でそうした店が増えている印象だが、その流れは全国に波及している。
ある地方都市でスナックを経営する40代男性・A氏は、「たまったもんじゃない」と吐き捨てるとともに、「あの人は“経済破壊大臣”ですよ」と西村康稔・経済再生担当大臣への怒りを滲ませる。さらには、自分の自治体の首長以上に、小池百合子・東京都知事の言動に腹を立てているという。
同氏の店は最大40人程入り、最盛期にはママと接客の従業員が5人いた。何度も続いた時短営業により、店はA氏とママの2人で回すこととなった。5人の従業員は復活の日を待っているものの、生活の糧が失われた状態は続いている。繁華街にある広い店で家賃は高く、「協力金」だけでは赤字になってしまう。しかも振り込まれていない分もある。
「いつまでこれ続けるのか、本当にやめて欲しい。西村大臣は、とにかく『飲食店が悪い』という設定を続け過ぎている。これまで散々緊急事態宣言やまん延防止等重点措置を発令して、時短要請、酒の提供禁止などを要求してきたが、結局、陽性者数は増えたり減ったりしている。いい加減、『飲食店が悪い』という前提を考え直すべきではないでしょうか」(A氏・以下同)
東京五輪の開幕を控えていることもあり、東京の陽性者数が連日のように大きく報じられているが、「地方でも飲食店への規制は、東京とほとんど変わりません。地方がどんどん“東京化”しているのは、どこの知事も小池都知事の飲食店対応をマネしているから」と同氏は憤る。
「小池知事は何らかの制約を課したり要請をしたりすると、支持率が上がることを分かっているんでしょうね。このやり方が他の知事にも伝わってしまった。ウチの知事も『仕事をしている風』を見せるために会見をし、政府に対して『緊急事態宣言を出して欲しい』と訴えて支持を集めようとしている。
結局メディアもそうですし、今のコロナ騒動は『東京問題』だと思うんです。東京の陽性者数が増えるとメディアがそのことを世界の終わりのごとく報道し、日本中があわてふためく。そのことをどの知事も分かっているから、小池氏のやり方をマネるようになって、地方もどんどん東京化する。とにかく東京が腹を括って“飲食店いじめ”をやめてくれれば、他の道府県も追随するのではないでしょうか」