長引くコロナ禍で、収入が下がったという人は少なくないだろう。新しい仕事に就くために資格の勉強をしている人もいるかもしれないが、社会保険労務士の佐藤敦規さんは、「コロナによる不景気もあり、新しく安定した仕事を探すのは、特に中高年にとって難しい状況です」と話す。
「安定した仕事を得るために、やたらと資格を取る人がいますが、稼げる資格でなければ意味がありません。そこで助けとなるのが“地味な資格”です。知名度が低い分、競争相手も少ないので、仕事に結びつきやすいのです」(佐藤さん・以下同)
『おじさんは、地味な資格で稼いでく。』(クロスメディア・パブリッシング)の著者でもある佐藤さんがすすめる地味な資格とは、社会保険労務士(社労士)や行政書士、宅地建物取引士(宅建士)など、持っていれば確実に需要のある資格だ。佐藤さん自身も社労士の資格を持っているが、取得したのは50才目前だった。
「一生使える資格を持ちたいと思ったのがきっかけです。それまでは印刷会社で働いていて、社労士は未経験でしたが、資格を取ったことにより収入が上がり、セミナー講師などもするようになりました。
このように、国家資格であっても学歴や年齢、性別、国籍が不問で、未経験でも取得できる資格が多くあります。特に、企業に必要とされる資格を持っておくと安定した仕事を得ることができます」
好きなだけでは仕事に結びつかない
では、具体的にどんな資格が仕事に結びつくのか。
「資格は大きく分けて、国家資格・公的資格・民間資格の3種類あります」と説明するのは、求人サイト『しゅふJOB』を運営する『ビースタイル メディア』代表の小牟田斉美さん。
「国家資格は国の制度に基づいて能力・知識を証明するもの。医師や弁護士、薬剤師などの仕事をする際に必要な資格で、その多くが業務独占資格ともいわれます。国家資格を取得するには、大学や専門学校で特定の科目を履修する必要があるものと、学歴や年齢不問のものがあります。後者はチャレンジしやすく、資格が取得できれば、就活にも有利になります。
公的資格は地方自治体、公益法人、財団法人などが実施している資格で、日商簿記、実用英語技能検定などがあります。民間資格は個人や団体、民間企業が独自の審査基準を設けているもの。業界知識や専門知識を保有していることを示せます」(小牟田さん・以下同)