家計

貯金なし歴ウン十年の64才女性記者 大切なのは「体も心も健康でいること」

若い頃から貯金なしでも幸せに生きてきた(イメージ)

若い頃から貯金なしでも幸せに生きてきた(イメージ)

 コロナ禍で収入が減る人も多い一方で、年金はどんどん減っていき、老後のための貯蓄が必要になっている昨今。定年が近づいてくる50代になって十分な貯蓄がないと、老後資金に不安を覚える人も多いだろう。しかし、女性セブンでおなじみのオバ記者こと野原広子さん(64才)は、「50代で貯金なしでも幸せ」とほほえむ。「この年まで、80万円を超える貯金をしたことがありません」というオバ記者は、40代には麻雀にハマり、ギャンブル依存のような状態だったこともある。そして、汗水かいて働くことでギャンブル依存から抜け出そうと考えたという。(全3回の第3回)

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 46才にして始めたビジネスホテルでのベッドメイキングのアルバイト。時給1500円、1日4時間で6000円。終われば口もきけなくなるくらい疲れた。こうして稼いだお金を「リーチ!」で溶かすわけにいかないでしょ。私もそこまでバカじゃない。私の中の“ケダモノ”が「何マジメなふりしてんだよ!」とけしかけることもあったけど、とにかく働いた。

 で、50代は後妻業に精を出した……というと人聞きが悪いけれど、ひとり気ままな暮らしに限界を感じて、結婚相談所に登録して、毎週末のようにお見合いを繰り返した。

 もちろん釣書(身上書)の「趣味」の欄に「麻雀。ときどきパチンコ」なんて書くわけがない。「料理、手芸、音楽鑑賞、読書」って、まともな女に見えそうでしょ?

「個性を出さず、ニコニコしていたらたいがいはうまくいく」という男友達からのアドバイス通りにしたら、1回目は確かにうまくいく。でも、ふとした言葉の端々に地が出るのよね。アメリカのバークレーで働くエンジニア氏から「野原さんの率直さは友達としてはとてもいいと思うけれど、ぼくが結婚相手に求めるものではない」と言われたのをいまでも時々思い出す。

 結婚と貯金はよく似ていると思う。日々の楽しみを先送りにして、貯め込んだり満期を待ったりすることは私の性に合わない。まぁ、私には、貯金も結婚も向かなかったのよね。

「で、ギャンブル依存症はどうなったの?」とよく聞かれるけれど、52才のときに禁煙補助薬で治療したら、あら不思議。たばこのにおいがダメになったのと同時に、牌を並べて一喜一憂するのがとてつもなく面倒になったの。

──とまあ、ド阿呆女一代記のようなことが、誰かの役に立つとは思えないけれど、ド阿呆を続けていくには、それなりの知恵も必要なのよ。

 貯金なしで生きていくには、絶対に健康でないと成り立たないから、自分の体の変化にはかなり神経を尖らせている。高血圧と心房細動の持病は毎月の通院と投薬できっちりコントロールしているし、精神的にヤバくなったときは、ひたすら寝るか、鉄道に乗るか、チクチクと手芸をするかしてる。

 それからお金を持っている人を決して羨まないのも、心の健康を保つにはとっても大事ね。

 あれは私が麻雀にのめり込む前だから20代後半のこと。ひょんなことで、都心に何棟もマンションを持っている60代の女性から人生相談を持ちかけられたことがあるの。彼女の長年の悩みは夫の浮気と、健康でない家族のこと。

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