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勝手に資産売却されたうえ離縁も拒否…「遺産目的の養子縁組」トラブル

養子縁組の申し出を受けて喜んでいたのも束の間…(イメージ)

養子縁組の申し出を受けて喜んでいたのも束の間…(イメージ)

 何かとトラブルがつきものの遺産相続。特に資産家の場合、遺産を目当てに家族に近寄ってくる親族もいるという。相続が絡む養子縁組で起こりうるトラブルには、どんなものがあるのか。ある70代女性が実際に体験したケースとともに、専門家のアドバイスを紹介する。

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 大地主の次男に嫁いだ私(72才女性)──そう言うと、うらやましいと思われるでしょうか。ところが実際は、義兄夫婦が広大な土地や金融資産を受け継ぎ、私たちは小さく古いアパートをいくつか譲り受けただけ。なぜ差をつけられたかというと、義兄夫婦は長男(本家)、夫は次男(分家)だから。

 それでも夫婦ふたりでなんとかアパート経営をしていこうと思っていた矢先、夫ががんで倒れました。私たち夫婦には子供がいなかったので、高齢の私が看病をしつつ経営もしていましたが、体力的にも厳しく、困っていました。すると、義兄の四男・M雄(40才)が、

「おばさんひとりで大変でしょう。ぼくが養子になって一緒に暮らして、いろいろとお手伝いしてあげましょうか」

 と言ってくれたんです。正直、渡りに船でした。夫が死んだら、経営はもちろん、私自身の介護も誰にしてもらえばいいものか、心配だったからです。夫の命もいつ尽きるかわからないため、すぐに手続きして、養子に迎え入れました。

 夫も、「これでおれも安心して逝けるよ、ありがとう」と喜んでくれました。いま思えば、幸せだったのはその瞬間まででした──。

 夫の死後、M雄は私に相談もなく土地建物の名義を勝手に自分に変え、売却。その現金をもとにひとり暮らしを始めたんです。後になって聞いたところ、M雄は素行が悪く、義兄から「お前には財産を譲らない」と宣言されていたらしいのです。それで、私たちに養子の相談を持ち掛けたようです。

 あまりのショックで床に臥せるようになった私の看病も、もちろんしてくれません。養子関係を白紙に戻したくて離縁を申し出ても、受理されず……。

 おいしい話には裏があるんですね。最晩年にこんな思いをするなんて、思ってもみませんでした。

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