「長男・長女はしっかり者」「末っ子は世渡り上手」……。きょうだい構成から性格を分析された経験のある人もいるかもしれない。そうしたなかで、「一人っ子」の場合はどうだろうか。「一人っ子だと、『わがまま』『寂しそう』『かわいそう』などマイナスイメージや偏見を持たれがち」と語るのは、自身も一人っ子である30代男性・Aさん。一人っ子当人や、一人っ子の親たちに話を聞いた。
母から「きょうだいがいなくてごめんね」
Aさん(メーカー勤務/未婚)はこれまで、きょうだいの話になった際、一人っ子であることを打ち明けると「そうは見えない」と言われることが多かったという。
「『一人っ子に見えない』という言葉は、褒め言葉のような感じで出てくるのですが、裏を返せば、世間的に一人っ子はネガティブなイメージを持たれているんじゃないかと感じます。私は『姉がいるように見える』とよく言われるのですが、近所の学年が上の女の子とよく遊んでいた影響もあるのかもしれません」(Aさん)
友人たちだけでなく、就職活動の場でも一人っ子への偏見を感じたという。「一人っ子だと競争心が強くないから、うちではやっていけないよ?」という面接官の言葉だ。
「面接官は、僕がゆとり世代なうえに一人っ子であることに警戒したのかもしれません。確かにきょうだいがいる方が、早い段階で『自分』というものはしっかりしてくるのかもしれないとは思います。常に比較や競争にさらされているわけですからね。その点、一人っ子は最初から全部自分の物。自身の経験でいうと、揉める経験がないので、争いたくないのは事実かもしれません」(Aさん)
現在70代の母親から言われ続けた言葉も印象的だった。「きょうだいを作ってあげられなくてごめんね」「良いパートナーを見つけて支えて会って生きてほしい」の2フレーズだ。
「母は私を一人っ子にした“負い目”があるようでした。結婚を強要することはありませんが、『自分がいなくなったらこの子は一人になるから』と、一緒に生きる人を見つけてほしい気持ちは強いようです」(Aさん)