暗号資産(仮想通貨)のビットコインが、11月に一時約6万9000ドル(約780万円)の最高値を更新するなど、再び注目を集めている。10月には米国初のビットコイン先物ETF(上場投資信託)も承認され、これまで仮想通貨への投資に慎重だった人達の中にも、少しずつ始める人が増えているようだ。
しかし、仮想通貨への注目度が増す一方で、バブル相場に乗じて素人を食い物にしようとする輩が急増している現状もある。あるインフルエンサーに影響されてコインを購入し、大金を失った30代アパレル勤務女性・A子さんが語る。
「以前から仮想通貨に興味はあったのですが、株みたいに詳しく説明している本などが少なく、何か良い勉強法は無いかと思っていました。そんな時、初心者向けに仮想通貨を分かりやすく説明しているあるYouTuber、Kさんに出会ったんです。動画はテンポ良く面白かったし、既にチャンネル登録者数は3万人以上、Twitterのフォロワー数も2万人を超えていたので、人気のYouTuberさんなんだと思いすぐにファンになりました」(A子さん・以下同)
少ない手元資金から仮想通貨投資を始め、A子さんの資産は少しずつだが増え始めていったという。しかし、雲行きが変わったのはそれから2か月ほど経った頃。それまで相場全体の話や初心者向けの解説を中心としていたK氏が突然、“会員限定”で特定のコインの情報商材を販売し始めたのだ。
「記事の価格は5万円と高額でした。でも、Kさんが『まだ市場が注目していない今がチャンス』と言うので、不安はありましたが購入しました。実は私、借金が200万円ほどあって、投資に興味を持ったのも、毎月の返済の負担が少しでも軽くなればという思いからでした。5万円は痛い出費ですが、短期間でその何倍もの利益が見込めるならと、保有資産を全て売って、そのコイン一本に絞って投資してしまったんです」
価格が上がりきったところで売り抜ける
全資産をかき集め、A子さんが投資した額は50万円。祈る思いで毎日チャートを見続けたという。投資して最初のうちは順調に上がっていったこともあり、不安は少しずつ安心感に変わっていった。
「保有額が70万、90万と順調に増えていくので、『やはりKさんの見立ては正しかったんだ!』と有頂天になりました。このままの勢いで行けば、控えめに見ても3倍から4倍の価格くらいまでは上がるんじゃないか、そう思っていたある日、一気に暴落したんです。
一瞬にして投資した当初の価格を割り、100万円以上あった保有額がマイナスに転じてしまった。文字通り、目の前が真っ暗になりました。何が起こったのか、これからどうすれば良いのか、すぐにKさんのTwitterにDMを送りました。でも、返事が返ってこないどころか、YouTubeの動画は削除され、Twitterの更新も暴落した日を境にぱたりと止まってしまったんです」