金融機関を取り巻く環境が激変しているが、利用者への影響が大きいのが「手数料」だ。相次ぐ手数料の新設に利用者はどう対策を講じるべきか。
「どこに行ってもATMがあるから使っていたが、考え直さないといけない。現金を財布に入れておきたい年寄りだって“客”なのに、見捨てられたような気持ちになります」
そう話すのは、ゆうちょ銀行に口座を持つ68歳の元会社員男性だ。
1月17日から、ゆうちょ銀行のATM利用手数料が新設された。駅やショッピングセンターなどのATMでの取引で、曜日・時間帯によって110円の手数料がかかるようになった。
男性はさらに「小銭を預けるのにもお金がかかるようになるなんて……」とも嘆く。
ゆうちょ銀行では同時に、「硬貨」の預け入れや払い込みで、枚数に応じた手数料がかかるようになったのだ。窓口では50枚まで無料だが、51~100枚で550円、101~500枚で825円といった具合に枚数が多いほど手数料がかさむ。
「他行ではこれまでも手数料があったが、ゆうちょ銀行は無料だったため、小銭の取引が集中。小銭を数えるオートキャッシャーの故障などが続出し、補修費用がかさんでいた。窓口で1円玉を1000枚預けたら1100円の手数料を取られるようになるのだから影響は大きい。賽銭を扱う神社などは大変だし、硬貨が多い募金も手数料で目減りする」(全国紙経済部記者)
他の大手行でも手数料新設が相次いでいる。新規に口座開設した際に「紙の通帳」を使うと一定年齢以上の人などを除き年間550円の手数料がかかったり、2年以上利用がないなどの条件に該当すると手数料が生じるようになった。
「基本的に窓口での手数料が高く、次いでATMで、ネットバンキング・ウェブ口座関連の手数料がいちばん安い構図です。デジタルへの移行を促す流れは鮮明です」(同前)
※週刊ポスト2022年3月18・25日号