若い世代を中心に、SNSはなくてはならない存在となりつつある。家族や友人の位置情報を常に手元で確認できるアプリや、複数の相手(友人やネット上で知り合った人など)とグループで会話ができる音声通話アプリなどの「常時接続SNS」も人気だ。NHK『クローズアップ現代』でもこれらを頻繁に利用する若者たちが取り上げられるなど、社会の注目度が高まっている。しかし、一方で、匿名性が高いSNSの利用には注意が必要なこともある。20代の女性会社員が体験したSNSでのトラブルについて、フリーライターの吉田みく氏が話を聞いた。
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都内在住の会社員、ミチコさん(仮名、27歳)は、本音はSNSで知り合った人にしか打ち明けられないことを話してくれた。
「数人の友人はいますが、本音を話せる人はいません。愚痴や悩みを打ち明けたら、『で、結局どうしたいの?』って、答えを急かす人ばかり……。そんな時に助けてくれたのが、SNSで知り合った人たちです。顔も本名も知らない人と話している時が、一番素の自分で居られる気がします」(ミチコさん、以下同)
打ち明ける内容は主に人間関係について。やり取りは文字や音声を使ったチャットルームがメインとのこと。プライベートの時間はネット上で知り合った人たちとアプリで繋がった状態を保っているそうだ。SNSで知り合った人たちに相談すると「ミチコさんは悪くないよ!」などと励ましてくれるので、嫌な気持ちを引きずることなく切り替えられるという。
「SNSで友達作りをするほうが何百倍も気楽です」と話していたミチコさん。他人とのコミュニケーションはもっぱら常時接続しているアプリ経由という状態のなか、最近、モヤモヤが残る出来事があったそうだ。
「チャットルームで知り合った男性(以下Aさん)と親しく会話するようになったことがきっかけでした。Aさんのことは、30代で関東エリアに住んでいることだけしか知りません。ですが……電子マネーを5000円分、援助してしまったんです」
ミチコさんによると、Aさんはコロナの影響で収入が不安定な状態が続いており、食事も満足に取れなかったという。「スマートフォン代も払えないかもしれない」などのSOSの声を見逃すことができず、Aさんを助ける気持ちで5000円分の電子マネーを渡したそうだ。