穀物価格の上昇や原油高などが世界的に続き、値上げラッシュが続いている。その規模は、一世帯あたり年間で5万~8万円の支出増になるともいわれている。
ファイナンシャルプランナー(FP)の花輪陽子さんは2015年からシンガポールに移住している。ワクチン接種率が9割を超え、3回目のブースター接種も7割を超えているシンガポールでは、4月26日から感染対策が大幅に緩和され、ほぼコロナ前の状況に戻ってきた。日本と同様、いろいろなものが少しずつ値上げされ、生活に影響が出てきているという。
電気量金の見直しが必要な時期に
「コロナ禍は、レストランなどの営業時間や酒類の提供時間が規制されるなど、新しい生活リズムを生み出しました。シンガポールでは22時半までに食事を終えて、公共交通機関を利用したり、歩いて帰宅する生活を送っていましたが、せっかく身についたこのいい習慣を手放すのはもったいない。日本でも、都内のタクシーの値上げ申請を国土交通省が審査中で、年内にも改定される見通しです。外食は最小限にして早めに終え、タクシーではなく、電車や徒歩で移動すれば、その分節約できると思います」(花輪さん・以下同)
また、日本もシンガポールも電気料金が大きく上昇している。特に日本では、2021年9月から毎月上がり続けており、過去5年間で最高水準に。東京電力が4月27日に発表した標準家庭ケースの6月の電気料金は8565円で、昨年6月の6913円と比べると2割以上も高くなっている。
「高温多湿なシンガポールは一年中エアコンが手放せないので、電気料金の値上げは痛い。約1.5倍上がった印象です。こちらは2019年から一般家庭も電力事業者が選べるようになりました。1kWhの単価が固定のプランと、年に4回見直す変動プランがあり、私は1年の固定契約にしたばかりです。これで、しばらく料金が爆上げされることはないのでほっとしています」
日本では料金の値上げに加え、2021年度には倒産を含めて31社が電力小売業から撤退するなど、深刻な事態になっている。情報を見逃さないためにも、契約会社からの「お知らせ」には必ず目を通し、「○月までで終了」などと書かれていたら、すぐにシミュレーションサイトなどで各社のプランやキャンペーンを比較し、切り替え先を見つけて期限以内に手続きをするとよいだろう。