田代尚機のチャイナ・リサーチ

悲観ムード一色の中国経済 コロナ封じ込め成功なら下期V字回復あるか

ロックダウンが続く上海では、6月中にも「市内全域で正常な生産、生活秩序を全面的に回復させる」という(Getty Images)

ロックダウンが続く上海では、6月中にも「市内全域で正常な生産、生活秩序を全面的に回復させる」という(Getty Images)

 中国経済の減速が著しい。4月の鉱工業生産は2.9%減で、2020年3月以来のマイナスとなった。生産量をみると、自動車は43.5%減、セメントは18.9%減、原油加工は10.5%減と二けたの減少である。発電量も先月の+0.2%から4.3%減へと減少に転じている。固定資産投資、不動産開発投資は累計データしか発表されないが、関連データから4月の伸び率を推計すれば順に+1.8%増、10.1%減といった状況だ。

 最も厳しいのは小売売上高で11.1%減であった。上海市で実施された都市封鎖、北京市の一部の区域で行われた人流制限をはじめ、程度の差はあれ各地域で行われたゼロコロナ政策が景気を強く抑制している。

 5月5日に開催された中央政治局常務委員会では、「ゼロコロナ政策を徹底して行う」方針が示され、秋に実施されるだろう第20回全国共産党大会まで厳しいゼロコロナ政策が実施される可能性が極めて高い。中国経済の先行きが心配される。

 ただ、足元ではこうした悲観が一変するかもしれないデータが出てきた。新型コロナウイルスの新規感染者数が急減している。

 5月15日時点における本土新規感染者数(発症者数)は140人、症状の出ていない陽性者数は1019人となった。前後と比べて突出して高い4月28日を除けば、ピークは1か月前に当たる4月15日で、前者は3867人、後者は20813人であった。

 地域別では上海の発病ベースの感染者数は69人、北京は39人、四川は14人。あとは一桁の地域が6省あるだけだ。

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