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【日本株週間見通し】上値の重い展開か 景気後退懸念も

先週の日経平均は5週ぶり大幅反落…

先週の日経平均は5週ぶり大幅反落…

 投資情報会社・フィスコが、株式市場の6月13日~6月17日の動きを振り返りつつ、6月20日~6月24日の相場見通しを解説する。

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 先週の日経平均は週間で1861.29円安(-6.69%)と5週ぶり大幅反落。終値では13週、26週など主要な移動平均線を軒並み下回った。

 日経平均は週初から836.85円安と大幅下落。米5月消費者物価指数(CPI)が予想を上回り、40年ぶりの高い伸びとなったことでインフレピークアウト期待が消失。6月のミシガン大消費者マインド指数が過去最低に落ち込んだことで景気後退懸念も強まった。その後も、連邦準備制度理事会(FRB)の急速な金融引き締めを織り込む形で金利が大幅上昇するなか、売りが続き、14日は357.58円安、15日は303.70円安と続落し
た。

 16日は5日ぶりに反発。イタリア国債利回りの急騰を受けて欧州中央銀行(ECB)が緊急会合を開催、パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)で購入した債券の償還金再投資を示唆したことが安心感をもたらした。また、連邦公開市場委員会(FOMC)ではFRBが予想通り27年ぶりとなる0.75ptの利上げを決定したことであく抜け感が台頭。パウエル議長が0.75ptの利上げが異例であることを強調し、ナスダック総合指数が大幅上昇したことが安心感を誘い、東京市場でも買い戻しが先行。しかし、先行き不透明感が残るなか、日経平均は午前に一時600円超上昇した後は急失速し、結局終値では105.04円高にとどまった。

 週末はリスク回避の動きが強まり、468.20円安と急反落。スイス国立銀行(中央銀行)が予想外に2007年以来の利上げに踏み切ったほか、英イングランド銀行(同)も5会合連続での利上げを実施し、世界的な金融引き締めの加速が警戒された。米国の経済指標が軒並み予想を下回ったことも投資家心理を悪化させた。欧米株式市場が揃って急落したことで東京市場でも売りが先行。日銀が金融政策決定会合で現状の緩和政策の維持を決めると、再び為替の円安進行が進み、昼頃には一時26000円を回復する場面があった。しかし、黒田総裁の記者会見を控えるなか買いが続かず失速。終盤にかけては再び売りが強まり、結局およそ1カ月ぶりに26000円割れで終えた。

 今週の東京株式市場は上値の重い展開か。世界的な金融引き締めの加速や、こうした積極的な引き締めが景気後退を招くオーバーキルへの懸念がくすぶり、軟調な展開が続きそうだ。

 パウエル議長は0.75ptの利上げが異例であることを強調したが、インフレのピークが見通せないなか、今後の物価指標次第では利上げペースの加速は十分にあり得る。不透明感は根強く残り、相場の反発基調は期待薄だろう。また、今回のFOMCでは四半期に一度の政策金利・経済見通しが公表された。政策金利見通しの中央値は大幅に引き上げられた一方、22年の経済成長率は潜在成長率の1.8%を下回る1.7%にまで大きく下方修正された。景気をある程度犠牲にしてでもインフレ抑制を優先する姿勢が示唆されたという意味で、今後のスタグフレーション(物価高と景気後退の併存)リスクは一段と高まったといえる。

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