長期投資を始める際に、世界株式指数に連動したインデックス投信を選ぶと、全世界に丸ごと投資できて、世界経済の成長を取りこぼすことなく享受できる。『世界一楽しい!会社四季報の読み方』などの著書がある個人投資家で株式投資講師・藤川里絵さんが解説するシリーズ「さあ、投資を始めよう!」。第9回は、「eMAXIS Slim全世界株式、人気の秘密」について。
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長期投資前提でインデックス投信を選ぶ場合、比較検討の結果、コストが安く、純資産額が大きい「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」が最有力候補になると前回の記事で紹介しました。この投資信託は、「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2021」でも1位になるなど、投資信託に精通している人たちからも絶大な支持を得ています。
数多ある投資信託の中でも“オルカン”と親しみを込めて呼ばれる「eMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)」の人気の秘密に迫ってみましょう。
カバー範囲、コスト、成績と隙のないスペック
ベンチマークとする指数は、「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス」で、日本を含む先進国・新興国の約50か国に国際分散投資を行います。
世界経済は人口増加とともに成長しており、長期的にはそれと連動して株価も右肩上がりとなっています。オルカンは、特定の地域を限定せず“世界を丸ごと買う”投資信託なので、世界経済の成長を取りこぼすことなく恩恵を享受できます。
しかも、オルカンは、経済情勢の変化に合わせて、強い銘柄の比率は大きく、弱い銘柄の比率は小さくなるよう自動的に入れ替えられます。投資で好成績を上げる絶対法則は、強い銘柄を増やして、弱い銘柄を切り捨てることですが、その作業を勝手に行ってくれるのだから、がぜん頼りになります。
長期投資でもっとも重視すべきコスト面を見ても、文句なしの低さ。信託報酬は、全世界株式系のインデックス投信の中では最低レベルの0.1144%。しかも、純資産額が大きくなればなるほど、信託報酬が安くなる「受益者還元型信託報酬」を採用しています。
2018年10月設定のまだ若い投資信託でありながら、純資産額6300億(2022年8月時点)と急拡大しているのもこの仕組みが寄与しているから、と考えられますね。