藤川里絵「さあ、投資を始めよう!」

24年ぶりの「円安・ドル高」で米国株投資への影響は? 円安のメリットとデメリット

円安のときにするべきこととは?

円安のときにするべきこととは?

 今年3月以降、急激な円安ドル高が進行し、9月に入ってさらに加速。じつに24年ぶりとなる水準の円安を記録している。では、そもそも円安になると、生活や資産形成にはどのような関係があるのか。『世界一楽しい!会社四季報の読み方』などの著書がある個人投資家で株式投資講師・藤川里絵さんが解説するシリーズ「さあ、投資を始めよう!」。第12回は「円安のメリット・デメリット」について。

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 資産運用にはあまり興味がないという人も、最近の円安のニュースにはなんとく心がざわついているかもしれません。「自分の国の通貨が安いってどういうこと?」「なにか自分に影響はあるの?」「このまま放っておいていいの?」など、いまさら聞けない円安・円高について解説します。

円安・円高とは?

 2022年9月8日、1ドルは144円台をつけました。この水準は24年ぶりということで、経済ニュースだけでなく、ワイドショーなどでも取り上げられています。普段あまり意識しませんが、通貨にも値段がついていて、1ドル=144円というのは、1ドルを買うのに144円必要ということを意味します。ということは、1ドル=100円なら、1ドルを買うのに100円必要となります。

 1ドル=144円と1ドル=100円なら、1ドル=144円のほうが、ドルは高いので“ドル高”ですね。つまり逆に言えば“円安”です。一方の通貨が高いと、一方の通貨は安いので、対で考えると理解しやすいでしょう。1ドル=100円、120円、140円と数字が大きくなればなるほど“ドル高・円安”になっていると考えてください。

なぜ急激に円安に?

 2022年の年初は、1ドル=115円でしたので、8か月でドルが25%上昇したことになります。これほど急スピードでドル高・円安が進んだいちばんの理由は、日米の金利差にあります。

 日本では、コロナショックのダメージからまだ立ち直っておらず、経済が心もとないので、金利を低く抑える政策を取り続けています。あらゆる金利の基準となる政策金利は、-0.1%(なんとマイナス!)となっています。一方のアメリカは、一足先に経済活動が再開し、コロナ禍で抑えられていた消費意欲が爆発。家や車がバンバン売れ、景気は猛スピードで回復しつつありました。ところが、強い需要に供給が追いつかず物価が上昇。コロナをきっかけに早期リタイヤした人が、労働市場に戻って来ず、人手不足も問題になっています。
 さらに追い討ちをかけたのがロシアのウクライナ侵攻で、エネルギー資源や農産物の産出国であるロシアからの輸入が途絶えたことにより、原油価格や、食物価格が高騰、未曾有のスピードで物価が上昇するインフレーションが起こっています。それを抑えるために、政策金利を引き上げざるを得ず、7月時点の政策金利は2.5%、年末には3.5~4%にまで引き上げられると予想されています。

 金利がまったくつかない国の通貨と、金利がどんどん上がっている国の通貨、みなさんが預金するとしたらどちらの通貨で預金しますか? 考えるまでもないですよね。金利がたくさんついたほうがお金は増えますから、当然、ドルのほうが魅力的です。こうして円が売られてドルが買われるので、ドル高・円安となっているのです。

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