生涯現役時代と言われて久しいが、定年退職後に再び仕事を探す場合に役に立つ給付制度がある。その際は、2つの高年齢雇用継続給付を利用したい。
60才になったときの給与が直前の75%未満になっていると「高年齢雇用継続基本給付金」として、不足額の一部が雇用保険から補填される。再就職後の給与が以前の61%以下なら、その支給割合がもっとも多くなる。ファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢さんが解説する。
「例えば、現役時代の月収が30万円だった人の再就職後の給与が18万円以下になると、18万円の15%にあたる2.7万円が補填されるイメージです。65才を過ぎて再就職したい場合は、勤続年数が1年未満なら30日分、1年以上なら50日分、雇用保険の基本手当を受け取ることができます。これを『高年齢求職者給付金』といいます」
年齢や回数に上限はなく、例えば65~67才の2年間働き、その後69才までの2年間別の職場に勤め、さらに求職活動をした場合、それぞれの求職期間に50日分の給付金を2回、受け取れることになる。ただし、年金を受給している人は注意が必要だ。
受給を繰り上げて65才になる前に年金を受け取っている人は、給与、年金、雇用継続給付の合計が月47万円を超えると、年金額が減らされてしまうため、事前に金額をよく確認してほしい。また、これらの手続きは、いずれもハローワークに申請する必要がある。
一方、ハローワークの紹介により、往復200km以上離れた事業所に面接に行く際は、新幹線代や宿泊費などが「広域求職活動費」として支給される。
「面接を経て採用された職場に通うために引っ越しが必要(現在の住居から往復4時間以上かかる場合)になると、引っ越し先までの交通費のほか、単身で3万8000円、夫婦なら7万6000円の『移転費』が出ます」(風呂内さん・以下同)
希望する勤務先が遠くても、それを補ってくれる制度があるのだ。