旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の問題を発端に、新興宗教全体への関心も高まっている、その一方で現在、新興宗教の信者は減少傾向にある。『妊娠・出産をめぐるスピリチュアリティ』の著者で、社会学者の橋迫瑞穂さんが説明する。
「新宗教は1970~1980年代のピークを経て、1990年代の霊感商法やオウム真理教でイメージが悪化して、減少した信者が高齢化しています。ただし多くの教団で勧誘は修行の場であり、勧誘の手は緩んでいません」
旧統一教会の元信者で、脱会支援活動を続ける日本基督教団白河教会牧師の竹迫之さんは、女性こそが熱心な信者だと語る。
「いま、新興宗教を偽装したカルトへの高額献金で話題になっているのは、ほとんどが女性です。結婚や出産、育児などライフステージが大きく変わる女性は、人生設計の中で思い描いていた未来を中断されるケースが少なくない。また、社会構造や文化、慣習などさまざまな要因から、カルトが女性を“カモ”にする事例が目立ちます」
新興宗教が勢いを失っても、被害者が負う苦しみはなくならない。それが露呈したのが、一連の旧統一教会問題だ。そして現在も女性たちに誘いの手が伸びている。宗教ジャーナリストの小川寛大さんが語る。
「ある大きな新興宗教は、昼間働いていない主婦を『自由に使える兵隊』と見ています。中には狙った金持ちの家の登記簿をあげて個人情報を暴き、尾行して勧誘する団体もありますが、多くの新興宗教は声がけの勧誘が基本です。公園で子供を遊ばせている母親に近づいて仲よくなり、家族の病気などを聞き出して“いい医者を知っているよ”などと近づくケースがいまもあります」
竹迫さんが続ける。
「家庭の主婦は一家の財布を握る立場にあることが多い。そこで信者が、日中自宅にいる主婦層を狙ってローラー作戦で戸別訪問し、“占いの勉強をしているけど悩みはありませんか”とアプローチする。何らかの家庭問題が見つかれば、彼らは徹底してそこを突きます」