フードロス削減への意識が高まっているなか、野菜のヘタや皮など調理に使わなかった部分から「ベジブロス」と呼ばれる野菜だしを取ることにも関心が集まっている。このベジブロスには、生野菜では摂取しにくい栄養素も摂れるという。捨てるはずの食材を煮込んで作るので、節約にもつながりそうだが、実際にはそうならないことに頭を悩ませている人もいるようだ。
ベジブロスを実際に作っているという、Aさん(40代女性/埼玉県在住、メーカー勤務)はこう話す。
「体のことを考えて、自炊をするときは野菜中心のメニューにするようにしています。ミネストローネやポトフ、冬であれば白菜鍋をよく作ります。そういったメニューでは、野菜くずがたくさん出るので、これをどうにか活用できないかと思ったのが、ベジブロスを作るようになったきっかけです。
私の作り方は、水に、ネギの青い部分、白菜の芯、ニンジンや玉ねぎのヘタ、きのこの石づきなどの野菜くずとお酒を少々入れて、30分くらい煮るだけです」
Aさんは、こうして作ったベジブロスをスープ、炊き込みご飯などに活用しているという。
「正直言って、ベジブロスだけでは“だし”としては優しすぎるというか、あまりおいしいとは感じません。初めて作ったときは、ベジブロスそのものが“いいだし”になっていると思っていたので、拍子抜けでした。そういった経験から、ベジブロスそのものを“だし”としては考えず、料理の際、水の代わりにベジブロスを使うという感じ。だしとしては、結局、昆布などと一緒に煮込んで、そっちでしっかりとだしを取ることが多いです。ベジブロスはあくまでも“栄養素のため”のもの、という考えがメインで、“おいしさのため”というのはサブで考えています。
また、野菜くずを活用できるという意味ではフードロス削減に貢献できるわけですが、数十分間煮込むので、その分エネルギーを余計に消費していることになるのも事実なんですよね。我が家はIHコンロなので、その分の電気代も多くかかります。捨てていたはずの野菜を活用できるからといって、必ずしも省エネになっているわけではなく、その点については葛藤があります」(Aさん)