春は一年の中でも、進学や就職で転居する人が多い季節。引っ越しの際、することはたくさんあるが、隣近所への「挨拶」も検討事項のひとつ。不動産情報サイト「SUUMO」が2019年に実施した「引越しに関するアンケート」(1年以内に引っ越しをした20~40代男女対象。有効回答数517)によると、「引っ越しの挨拶をした」のは全体の71.8%。「一人暮らし」の場合、挨拶をした人は64.6%だった。一人暮らしでも引っ越し時に挨拶する人は多いようだが、その一方で、3人に1人は「挨拶をしない」ということ。なぜ挨拶をしないのか、実際に一人暮らしをした際、挨拶をしなかったという人たちに、その理由を聞いた。
「挨拶しないのも気遣いの一種」
メーカーに勤務する30代男性・Aさんは、「一人暮らしの場合、基本的に挨拶しないものだと思っている」という。
「家族向けの戸建て住宅や、分譲マンションなら『子供がいるのでうるさい時もありますが~』とか、隣にどんな人が住んでいるのか知っておくことも大切なのかなと思います。でも、賃貸に出しているようなアパートやマンションは入居者も頻繁に変わるでしょうし、むしろできる限り近所付き合いしたくないという人も多いと思うんですよね。だから、挨拶しないのも気遣いの一種だと思っています。
実際、僕は今も一人暮らしですが、隣人がどんな人なのか知りませんし、特に知りたいと思ったこともありません。もちろん、廊下やエレベーターで顔を合わせた人とは挨拶しますが、何号室の誰なのかは全然わかってないですね。オートロックなので、そこはセキュリティの信頼ありきです」(Aさん)
そんなAさんだが、引っ越し時の挨拶経験がないわけではない。学生の頃は1階に大家さんが住む物件だったため、親に言われて大家さんには菓子折りを持って挨拶したことがある。だが、そうした物件は別にして、基本的には挨拶しないほうがいいと思っている。
「オートロックではない物件に住んでいた時、『隣に引っ越してきました』という人が来たので、ドアを開けたら、営業や勧誘だったことがあります。恐ろしい……。そういうこともあって、挨拶だという人に来られるのも苦手になりました」(Aさん)