今年に入り、たびたび世間を騒がせているSNSにアップされた迷惑動画の数々。過去、2013年頃に話題になった「バカッター」は、Twitterにおける画像(写真)を中心に広がったもので、ネットリテラシーの低い、いわゆる「情弱層」がその中心にいた。一方、2019年のバイトテロはInstagramの「ストーリー」機能で、24時間でデータが消えるという安心感から誹謗中傷や内輪ノリの迷惑動画をアップするという動きが加速。そして今年、“スシロー事件”に象徴される迷惑動画は、おもにTikTokにアップされ、それがTwitterなど拡散性の高いSNSに転載されたことで一気に炎上につながった。
このように、誰もがネットに写真や動画をアップできる今の時代。社会を騒がす迷惑行為とまではいかなくても、たとえば友人を無断で撮影し、SNSにアップする人は珍しくない。本人の許可を取らずに無断でネット上にアップすることは、肖像権の侵害にあたる可能性も高いが、SNSユーザーのあいだでは「よかれと思って」「友情の証として」写真や画像をアップロードする場合もあるから厄介だ。こうした「フォトハラスメント」(フォトハラ)に苦しむ現役大学生たちに、その実態を聞いた。
知らない人から容姿を評価されることも…
都内の大学に通う女子学生・Aさん(20歳)は、友人による無断アップロードについては、なかなか「やめてほしい」と言いづらい空気があるという。
「友達と一緒に遊びに行くと、一緒にいる空間を楽しむのではなく、写真や動画を撮ることに命をかけている友人が何人かいます。ご飯を食べに行ったりすると『一緒に写真を撮ろう』と言われ、結局、こちらには確認もせずに、彼女だけが可愛く写っている写真をSNSにアップするんです。多分、自分だけに小顔フィルターをかけたり、美肌加工をしたりしている。すごく嫌なんですが、人間関係が気まずくなるのも避けたいので、『写真を載せないで』と言えなくて……」(Aさん)
写真を撮られ、無断でアップロードされることが不快だというAさん。友人のSNSアカウントにアップされ、自分の知らない人たちから容姿についてコメントされたこともあるという。
「自分の写真をネット上にアップされるのも嫌ですが、さらに嫌なのは知り合いではない不特定多数の人の目に触れることです。去年、大学の友人と4人で撮った写真を、友人の一人がインスタにアップしたんです。そのコメント欄を見たら、彼女の友人と思われる男性のアカウントが、私のことを『この右に写っている子、紹介して!』みたいなコメントをしていた。
すると、別の男性が『この子よりも後ろの子の方が可愛いだろ』みたいなリプライを書いていたんです。私も自意識過剰かもしれないですが、こういう風に知らないところで評価の対象になることが本当に怖いんです」(Aさん)