ここまでトヨタや日産の発表による内容を確認した時点で、どうしても物足りなさというか、これで十分だろうか?という思いは拭い去れません。問題点は、車内に取り残された子供が「自らボタンを押す」というところです。2~4歳ぐらいの子供が、取り残されたことを判断し、ボタンを押すことができるでしょうか。
普段は「いたずらしては、ダメですよ」などと、勝手に車内のものなどを触ってはいけないように言われているでしょう。そんななか、危機的状況において「いまこそボタンを押さなければいけない」と正確に判断してボタンを押すことができる子供がどれほどいるでしょうか。子育て経験がある私からすると、かなり不安だと感じます。
なにより、ここでも「人間の“うっかり”や油断」を許してしまう状況が考えられるわけです。つまり人間の判断に委ねる状況が残されていて、強制的に安全方向に流れるようなロジックになっていないのです。できるならば、エンジンを切り、イグニッションキーを抜いた時点で強制的に作動する装置になっていることが、最終的には必要ではないでしょうか。
解決策はあります。それは「人感センサー」を装備することです。例えば、エンジンを切った時点から5分なり10分経過したら強制的に人感センサーが作動し、車外に対してアラームで知らせるような装置にすればよいのです。そこにはケアレスミスが入る余地がほとんどなくなります。しかし、今回の発表では、人感センサーを採用したという内容がありませんでした。
一方、自動車メーカー以外から発表された装置には、しっかりと人感センサーのシステムがありました。たとえば「株式会社MSI」というメーカーには、3タイプの商品ラインナップが用意され、9万8500円~14万円(税込み)という価格帯になっています。すべてのタイプに「車内センサー検知」という機能があり、万一、車内に子供が残っている場合であっても、センサーがその動きや振動を検知して車外アラームを鳴らします。上位モデルはアラームをメールで知らせる機能や、カメラで記録するシステムまであります。当然ですがどのモデルも補助金内で収まるわけです。