住まい・不動産

部屋の「鍵」引き渡しトラブルで「想定外の出費に…」 悪いのは借主か貸主か不動産屋か

 不動産屋としては、土日配達がなくなるなど、以前より郵送に時間がかかることもあり、それこそ入居日に鍵がなかったらトラブルになりかねないので、前倒ししたい気持ちもわかる。しかし、現実的にはレターパックや宅配便が活用されることが多い。また、そもそも郵送中に鍵が紛失することもゼロではない。

 トラブル回避のため、できれば入居日当日、早くても前日に不動産屋やオーナーから直接、鍵を受け取り受領書に記載することをおすすめしたい。その際に、鍵の使用方法や紛失時の注意点、宅配ボックスのカードキー、郵便ポストの暗証番号などもあればあわせて説明を受けるべきである。

 Aさんにはその後、入居日からの契約期間を訂正した賃貸借契約書が送られてきた。先日は、入社式を迎えて新しい環境で奮闘中である。

 今回の事例では、貸主、借主ともに予想外のできごとに巻き込まれたといえる。鍵のセキュリティがどれだけ高くても、引き渡しが上手くいってなければ本末転倒である。

 こうしたケース以外にも、鍵がそもそも壊れている、紛失による鍵開け、オーナーに断りのない鍵交換など、鍵をめぐるトラブルは多い。近年では、オートロックと連動するタイプの鍵も多く、指定業者でないと交換できないこともある。

 鍵の引き渡しトラブルは、不動産屋が大手や有名、無名に関わらず巻き込まれることがある。せっかくの新生活、ケチがつかないよう、注意したいものだ。

【プロフィール】
日下部理絵(くさかべ・りえ)/住宅ジャーナリスト、マンショントレンド評論家。第1回マンション管理士試験に合格。新築などマンショントレンドのほか、数多くの実務経験、調査から既存マンションの実態に精通する。著書に『「負動産」マンションを「富動産」に変えるプロ技』(小学館)、『マイホームは価値ある中古マンションを買いなさい!』(ダイヤモンド社)、『60歳からのマンション学』(講談社)など多数。

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