4月10日から4日連続で運行がストップし、思わぬ形で知名度を上げた日暮里・舎人(とねり)ライナー(以下「舎人ライナー」)。日暮里駅と見沼代親水公園駅を結ぶ同線は2008年開通の新しい路線だが、混雑率は首都圏ワーストクラスで、2022年度には混雑率日本一になった。もっとも、混雑率の高さは沿線地域の人気の表れとも考えられる。では、実際の沿線の住み心地はどうなのか? ライターの金子則男氏が解説する。
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舎人ライナーは荒川区を出発し、隅田川と荒川を越え、交通空白地帯だった足立区西部を繋ぐ全長約10kmの路線。路線図では上下に真っ直ぐな線で表記されますが、実際に西日暮里駅以遠にはカーブが一切なく、一直線に北を目指します。
舎人ライナー沿線についてまず評価すべきは、物価が23区内トップクラスに安いことです。一人暮らし向け物件の家賃相場は、始発から3駅目の熊野前駅で6万円台(6.82万円。ライフルホームズ調べ)ですし、新築の一戸建てやファミリータイプのマンションが4000万円前後で手に入るのは、23区内ではこのあたりぐらい。
また、2022年の『SUUMO新築マンション首都圏版』に掲載された「物価が安い街ランキング」では、1位の「西新井大師西」を筆頭に、舎人ライナーの駅がベスト10に3駅もランクインしました。ただし、舎人ライナーの運賃は高く、10分程度乗るだけで300円近くかかりますが……。
交通事情も悪くありません。西日暮里まで出ればJR山手線や京浜東北線、東京メトロ・千代田線に乗り換えられ、終点の見沼代親水公園からでも大手町まで40分程度。一方、付近には環状7号線や首都高速中央環状線が通っており、車でも便利です。さらに、沿線には起伏がほとんどないので、自転車は非常に有効な移動手段。電車賃を節約するために、自転車を使う方法もあります。
日常生活は快適です。ほぼ全線にわたって住宅地で、スーパーはかなり充実。庶民派スーパーが価格競争を展開しています。沿線の最大の見どころは舎人公園で、広々とした園内は着々と整備が進んでおり、ピクニックやBBQが楽しめます。23区内では珍しく、車社会という側面もあり、スーパー、ドラッグストア、DIYショップ、家電量販店などはもちろん、コンビニでも駐車場があるのが当たり前。ロードサイド型の大型店舗が軒を連ねており、ファミレス、ファストフード、焼肉、回転寿司などの充実度は目を見張るものがあります。