やはりネックは舎人ライナーか
舎人ライナー沿線のウィークポイントは、やはり舎人ライナーと言わざるを得ません。ホームドア完備で安全性も高く、普段は滅多に遅れない優等生ですが、雪には滅法弱く、1~2cmの雪でも運行がストップします。また、2021年には震度5強の地震で車両が脱線し、数日にわたって全線がストップ。一旦運行が止まると復旧に時間が掛かり、代替路線もないので、途方に暮れることになります。
乗客のマナーについてはこんな指摘もあります。舎人ライナー沿線に住んで8年目のAさん(40代/女性)は、こう話します。
「舎人ライナーは基本的にドアが開く方向が全て同じですが、開く側のドア横をがっちりキープして動かない人を毎日のように見かけます。確かに車両は狭いですが、混んできたら奥に詰めるという基本的なルールがちっとも守られていません。席を譲る場面も滅多に見かけませんし、お年寄りやベビーカーの人が待っているのにエレベーターを当たり前のように使う人も多くて、啓発が必要だと思います」
2019年に東京都交通局に寄せられた「お客様の声」にも、「席を譲ってあげている人を見たことがありません」という苦情があり、マナーについては改善の余地があるのかもしれません。
当面は、首都圏ワーストクラスの混雑度が解消する見込みもありません。現在、定員を増やした新車両が徐々に投入されており、時差通勤の呼びかけも必死に行われていますが、それを上回るペースでマンションや住宅が建っています。ラッシュ時の運行間隔はすでに限界に近く、ピーク時には“積み残し”が発生することもあります。
基本的な住心地は悪くなさそうですが、ラッシュ時に通勤通学しなくてはいけない人は、ストレスを感じることになるかもしれません。逆に言えば、ラッシュ時を外せる人、リモートで仕事出来る人、主に車を使う生活の人にとっては、物価や家賃が安く、買い物も便利で、都心までもそれほど遠くないので、このあたりに住むメリットは大きそうです。
高架を走る舎人ライナーは見晴らしが良く、晴れれば富士山や筑波山も望めます。街のブランド力が高いわけではありませんが、総合的に見れば、なかなかのポテンシャルを秘めているのではないでしょうか。(了)