現行モデルからクラシックモデル、さらには限定モデルなど、280台以上のランボルギーニが集結しました。そしてこの場で行われたパレードランには、名車「ミウラ」から限定車である「カウンタックLPI 800-4」までの250台以上が参加し、「ランボルギーニ車の最大のパレード(The largest parade of Lamborghini cars)」としてギネス世界記録に認定されました。
280台以上なので、1台3000万円として84億円、なかには1台数億という希少車もあるので、それ以上の価値のクルマが並んだわけです。そんな計算をしてしまうところが我々庶民の性なのですが、60年にわたりランボルギーニが“憧れ”を醸成してきたからこそだと思います。
こうしたメモリアルイヤーを祝うときの定番、記念モデル「ランボルギーニウラカン60周年記念スペシャルエディション」も登場しています。こうした高額高性能なクルマはこの先にも色々な社会性を身に纏い、永く生き続けることになります。
冷静に考えると、移動をより安く、快適に行うことだけが目的ならば、こうしたスーパースポーツカーは必要ないのかもしれません。言わば“無駄”。一方、この無駄に金を払えるこという行為、ゆとりに対しての憧れが生まれ、ブランドを支えているように思います。もし世の中にリッター30km/L以上走行できるハイブリッド車や、多人数乗車のミニバンといった実利優先のクルマばかりになったら、どうでしょう。これまでランボルギーニが持続してきたような“無駄に対する憧れ”はなくなってしまうかもしれません。正直、少々寂しいと思うのですが……。
【プロフィール】
佐藤篤司(さとう・あつし)/自動車ライター。男性週刊誌、ライフスタイル誌、夕刊紙など一般誌を中心に、2輪から4輪まで“いかに乗り物のある生活を楽しむか”をテーマに、多くの情報を発信・提案を行う自動車ライター。著書『クルマ界歴史の証人』(講談社刊)。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。