「非就業」よりも「会社員」が多い
たしかに、制度開始当初に想定されていた「第3号被保険者=専業主婦」という構図が成り立たなくなっているのではないかと示唆するデータもある。同じく3月28日の年金部会に提出された資料の中にそれが含まれている。
「第3号被保険者の就業状況」というタイトルの資料だが、そこでは第3号被保険者のうちの44.7%にあたる371万人が「会社員・公務員」だと示されているのだ。半数近くが“会社勤め”をしているということであり、これは第3号被保険者に占める「非就業・不詳」の357万人(43.0%)を上回る数字だ。「非就業・不詳」は1995年には第3号被保険者の68.5%を占めていたが、年々、その割合は下がってきているのだ。厚労省関係者が語る。
「第3号被保険者であっても、“ちょっと働く”というスタイルの人が多いのであれば、そういう人たちにも厚生年金に加入してもらって働いた分は保険料を支払い、将来の年金を増やしていくという議論があっていい。年金部会では第3号被保険者制度について、育児や介護のために収入が低くなってしまっている人に限って保険料が免除される制度に変えていき、そうでない人は第3号被保険者の制約をなくして年収の壁を気にせず働けるような制度にしたほうがいいという、有識者からの意見も出ている」
年金財政は火の車だから、ひとまず直近で保険料を支払う人を少しでも増やしたいという政府側の事情もありそうだが、年金制度が曲がり角に立たされていることもまた事実だろう。(了)