【8】配当性向
配当性向は、利益に対しての配当金の割合を示す指標。配当性向(%)=1株当たりの配当額÷1株当たりの当期純利益×100で求められます。つまり、企業が当期純利益のうちどれだけを配当金の支払いに充てたか?を表す指標です。
企業は将来の事業活動のために利益をしっかり残すことも役目ですので、高配当企業とはいっても配当性向は低いほうがいいです。配当性向が100%を超えるようだと、配当金の支払いで利益を吐き出してマイナス。そんな状態は続きませんので、経営の立て直しで減配・無配転落になってしまうこともあります。そのため、時期によって変動はしますが、配当性向が60%未満で推移し続けているのが望ましいです。
連続増配記録連続増配とは、配当を前年比で増やし続けることです。時が経つほど配当金が増えるため、株主にとって長期保有のメリットがあります。米国株では60年以上増配を続けている企業が多数あり、日本でも花王が30年以上増配を続けています。当然ですが、ただ配当金を増やせばいいのではなく、その分だけ毎年利益も上げていかないといけません。連続増配を達成している企業はそれだけ、長期での業績を成長させてきたひと握りの超優良企業といえます。
この連続増配のパワー、投資家なら侮れません。1999年に花王の株を買うと2500円の株価に対し、配当金16円。配当利回りは0.64%でした。しかし、その後も花王は配当を上げ続け、2022年当時で配当金は148円まで上がりました。もし株価2500円のまま保有していたら、配当利回りは5.92%まで引き上がります。さらに、株価も一時9000円台まで付けたこともありますので、最大値上がり率は約4倍。持っているだけで、インカムゲイン・キャピタルゲインともにたっぷり確保できるのです。
ただし、連続増配も昔からの習慣で、無理して続けている企業も散見されます。業績が悪くなってきているのに、強固に株主還元策を行ってきた結果、後戻りできなくなっているのです。このパターンには注意してください。
だからこそ、利回りや増配記録だけでなく、売上高の伸びや配当性向も気にする必要があります。年によって増配したり・しなかったりですが、何年も配当金をキープし続けてくれる「隠れ増配」銘柄も貴重です。増配するかはその年の業績によりますが、少なくとも前年より配当金を減らすことがないので、株主としても安心です。
毎年増配してくれるのは有難くても業績悪化するとリスクになりやすい一方、こういった隠れ増配株は配当性向も安全圏を保ちながら運用している傾向にあります。30年以上減配していない企業として、信越化学工業や武田薬品工業などが挙げられます。
一見配当利回りが高くなくても高い確率で配当が期待できるのであれば、無理して連続増配している企業より安定するかもしれません。