自腹で「マンション理事長」の名刺を作成
しかし今、全国のマンションで困った“迷惑系理事長”が続出しているという。
都内にあるマンション・Aの理事長は、一昨年、定年退職したばかりだ。このマンションの役員は輪番制で決まるが、理事長の役職は自ら名乗りをあげ就任した。この理事長は、仕事も辞めてやることがなく暇なのか、毎日のように管理事務室を訪ねるという。理事長としての仕事に熱心と捉えることもできるが、マンション管理員からは「監視されているようで働きにくい」と苦情が出ているという。
管理員は給与の割に大変で、なり手不足が叫ばれる今日。この理事長の存在が管理員を退職に追い込まなければいいが……。
またマンション・Bの理事長に至っては、自腹で「Bマンション管理組合 理事長」という肩書きの名刺を作り、至るところで配っているという。しかも、理事長は偉いと勘違いしているのか、住民や管理員、清掃員などに妙に偉そうな態度を取っているのだという。
肩書き重視の団塊世代らしいともいえるが、単なる組合員(住民)の代表ですから……決して偉くはない。困ったものである。
マンション・Cでも困ったシニア理事長がいるという。年金生活で時間が有り余っているうえ、現役時代に経理を担当していたこともあり、決算書や管理会社への委託管理料管理委託費の内訳を穴が空くほど眺めては、「あの点検料は高い」「この費用は何だ」「管理員や清掃員の人件費が高い」などなど……。もちろん、そうした行動が管理組合の収支にプラスに働く面はあるのだが、しまいには「私が管理員をやってやる!」とまで言い出した。イヤイヤ……百歩ゆずって管理会社に委託してない自主管理マンションならアリともいえなくもないが。
“暴走”するのは、シニア理事長ばかりではない。マンション・Dの40代理事長もなかなかだ。「忙しい時間を割いて理事長を引き受けるのだから、時給換算で5000円の役員報酬をよこせ」と主張。
その試算をみると、毎月1回の理事会と年に1回の総会で全13回、1回につきおおよそ2時間だとして、〈時給5000円×2時間=1万円〉。その13回分として、年13万円を支給してほしいという。困ったことに他の役員まで賛同し始めているではないか。もしどうしてもというなら、役員報酬の導入を検討するしかない。ただ物価高で光熱費や管理委託費用が高騰をする中、役員全員に報酬制度を導入していたら、赤字決算まっしぐらですから……。
その他にも、理事会や管理会社のフロント担当者と何の打ち合わせもしていないのに、総会の場でいきなり、「緊急動議です!」と言い出し、みんなを混乱させる迷惑系理事長も実在する。