「あの音は耳から離れません」
埼玉県在住のパート主婦・マリナさん(仮名、38歳)は、先日、自家用車のスライドドアを傷つけ、修理のために高額な出費が必要になったという。
「休日にコロナのことをあまり気にせず出かけられるようになり、ウキウキしていたんです。先日、夫と子供2人の家族4人で出かけた後、自宅の駐車場に停めようとして側面のスライドドアをガリっと擦ってしまいました……。あの時に聞いた音は、今でも耳から離れません」(マリナさん)
マリナさん家族の車は7人乗りのファミリーカー。購入当時の金額は500万円ほどと、高価なものだそうだ。傷は大きく修理するしかない状態だったが、走行距離が5万キロを超えていたこともあり、思い切って買い換えを検討することになった。しかしこの話が、夫婦間の衝突を招くことになる。
「夫が『新車で同じグレードのものを買いたい』と言う一方、私は『中古でも構わないので費用を抑えたい』と主張し、意見が分かれたんです。近年の円安・物価高の影響もあり、私たちが想像していたよりも車の価格が高くて驚きました。正直、グレードを1つ落としてもかなり高額で、中古だとしても決して安いわけではない。通勤に子供の送り迎えと、車がないと生活できないライフスタイルなので手放すわけにもいきません」(同前)
しばらく夫は新車を買う気でいたものの、これから子供たちの学費がかかることを理由にマリナさんがストップをかけた。その結果、現在乗っている車のスライドドアを修理する形で落ち着いたそうだ。
「私たちは車両保険に入っていなかったので、修理費用30万円を自己負担で出しました。夫は『どうせ近々買い換えるんだし、修理代がもったいない』と怒っていましたが、私としては分不相応な買い物で長期的に家計を圧迫するほうが問題です」(同前)
車にまつわるトラブルはある日突然やってくる。コロナ前の日常が戻りつつあるなか、自家用車での移動や外出の機会も増えるだろう。事故や故障に気を付けるのはもちろんだが、それに伴う「想定外の出費」があり得ることも考えておかねばならない。
【プロフィール】
吉田みく(よしだ・みく)/埼玉県生まれ。大学では貧困や福祉などの社会問題を学び、現在はフリーライターとして人間関係に独自の視点で切り込んでいる。マネーポストWEBにてコラム「誰にだって言い分があります」を連載中。趣味はドライブをしながら道の駅を巡ること。