最寄り駅から急な坂道を歩いて20~30分
東京なら田園調布(大田区)や松濤(渋谷区)が“お金持ちの住む街”としてのイメージが強いだろう。特に田園調布は、家を建てる際に、敷地面積は最低でも50坪以上、家の高さは9m以下、外壁や屋根の色は環境に調和した落ち着いた色にするといった細かいルールがあることでも知られている。
関西にも各エリアに富裕層の集まる街が点在するが、その中でも特に厳しいルールがあるとされるのは、六甲山麓の高級住宅街として知られる兵庫県西宮市にある苦楽園だ。この地に住んで50年以上という女性住民が言う。
「外壁や屋根の色合いも決まっていて、木も敷地面積に応じて最低限植えなければいけない本数や高さが決まっています。本当に細かいですけど、やっぱりこの街の景観が好きなので、ルールは守りたいと思っています」
苦楽園は明治時代に温泉が見つかったのを機に温泉リゾートとして開発され、やがて住宅地として使われるようになった土地だ。物理学者の湯川秀樹氏が住んでいたことでも知られており、ノーベル賞を受賞した「中間子理論」は苦楽園の家で誕生したという。交通の便は決してよいとは言えず、最寄りの駅からは急な坂道を歩いて20~30分はかかる。
「みんな車を使っていますが、自然に対する思いが強いからか、ハイブリッド車に乗ることが“暗黙のルール”。排気量の多いエンジン音のうるさい車に乗っていると、“あの人は新住民だから”なんて噂になります」(前出・住民)
※女性セブン2023年6月15日号