住まい・不動産

「すぐ怒鳴り込んでくる」“厄介な迷惑隣人”の存在を隠してマンションを売却するのは説明義務違反になるのか? 弁護士が解説

 説明義務違反がない場合でも、契約不適合責任の問題があります。すなわち、迷惑隣人がいても物としての住宅の効用や価値は変わらないはずですが、その目的は、居住環境にふさわしい住生活を享受することで、買い主はこの目的を達成することを望んでいるはずです。買い取った後、隣人の迷惑行為が以前からあったことがわかり、それが物理的な利用妨害であればもちろん、そうでなくても嫌がらせや暴言などで心理的な妨害を受け、平穏な生活を過ごすという本来の用途に適った使用が充分にできない場合、その住宅は売買の目的である住宅の品質に適合しなかったことになります(契約不適合)。

 契約不適合の程度がひどく、居住できない場合には、買い主は契約を解除できますが、そこまでのことがなくても一定程度の値引きが認められる場合もあります。しかし、買い主が迷惑隣人の存在を承知していれば、そのことを織り込んで契約目的たる住宅の品質を決めたことになるので、契約不適合の問題は発生しません。

 ですから、あなたは宅建業者に任せて、買い主と接触しなければ説明義務違反になる心配はありません。しかし、迷惑の程度がひどいと、後から値引きの要求を受けます。積極的に開示しなくても、迷惑行為の感じ方は人により違いますから、買い主に日頃の近所の様子をよく観察してもらい、問題を認識させるのがよいと思います。なお、買い主や業者から尋ねられたときに、嘘を言うと説明義務違反になるので注意しましょう。

※女性セブン2023年6月22日号

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