厚生労働省は6月26日に、2022年度の国民年金の納付率を発表。前年度から2.7ポイント上昇して納付率は80.7%に達した。80%を超えるのは初めてのことだという。厚労省はスマホのアプリ決済による納付の導入や告知活動などに注力したことが若い世代の納付率上昇に寄与したとみているようだが、その若い世代が受給する頃に、国民年金の制度がどうなっているかを巡っては、不透明な部分も多い。
厚労省が発表した「令和4年度の国民年金の加入・保険料納付状況について」によれば、国民年金の第一号被保険者の2022年度の最終納付率(2020年度分保険料=国民年金の保険料は納付期限から2年以内であれば納められるため)が80.7%に達し、統計を取り始めた2004年度の最終納付率以降で最高値となったという。2012年度の最終納付率64.5%からは16.2ポイント増加し、10年連続で上昇している。大手紙記者が言う。
「所得が少ないなど、保険料を納めることが困難な場合の手続きをしている全額免除・猶予者は606万人で、前年度より6万人減少。未納者は89万人とやはり前年度より17万人減少していた。厚労省は、口座振替やクレジットカード納付、コンビニでの納付の促進、スマートフォンアプリ決済サービスでの納付の導入など、保険料を納めやすい環境づくりを進めたことが納付率向上の要因のひとつではないかとしています」
厚労省の発表資料を見ると、若年者対策として、〈納付方法や学生納付特例制度の手続等をわかりやすく説明する動画を機構Twitterに掲載するなどの周知を図りました〉とある。年齢別の納付率の資料を見ると、2020年度分の保険料を同年度中に納めた割合(現年度納付率)と2022年度時点の最終納付率を比べた時に、20~24歳では64.55%から81.09%に上昇しており、〈若い年齢階級での上昇幅が大きい〉としている。若年者対策の成果であることが説明されているわけだ。
年金制度を継続していくためにも、若い世代の納付率向上は重要な課題だろう。ただ、その若い世代が「年金(受給)世代」となる頃には、「国民年金の制度は今のままのかたちではないだろう」(ベテラン社会保険労務士)といった懸念の声もあがっている。