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半身不随になった弟の介護を一身に背負う57才作家 40年以上の関係断絶から身元引受人になるまで

「きょうだいの面倒」を見るようになった経緯は(イメージ)

「きょうだいの面倒」を見るようになった経緯は(イメージ)

「よく、“人生100年時代”なんていいますけど、その計算でいくと、この先まだ50年近くも、私は弟の世話をし続けないといけない。そう思うと医学の進歩が憎くなります。80才の母親の介護ならあと20年くらいかなとか先が見えますけど、弟は私より長生きするかもしれない。そうなると私は、この先一生、彼の面倒を見ないといけない。仕方がないとはいえ、正直、毎日のように逃げ出したいと思っています」

 半ば諦めたような表情で淡々と心情を吐露するのは、半身不随になった2才年下の弟・Tさんの介護を一身に背負う、作家でイラストレーターの“ハセジュン”こと長谷川純子さん(57才)だ。

引きこもりの弟を無視し続けていたら

 弟のTさんは4年前に脳出血で倒れた。

「Tは中学時代にいじめを受けてから引きこもりがちになり、高校には入ったものの大学受験に失敗。これを機に、完全に引きこもりになりました」(長谷川さん・以下同)

 母親は、そんなTさんに働くよう一喝するといったことは一度もせず、むしろ、「Tは気が弱いから、またいじめられたらかわいそう」と、Tさんを守るようにして暮らしていたという。そんな母とTさんの姿を見たくないと、長谷川さんと次男は早々に家を出て暮らし始めた。

「私はもともとTと気が合わず、中学時代から40年以上口をきいたことがありませんでした。次男も働かない兄を軽蔑するようになり、私たちはTを敬遠するようになりました」

 しかし、Tさんの存在を見ないふりをしていたのがよくなかった。6年前、母が病で倒れると、治療費はもちろん、米も買えないほど生活に困窮していたことがわかった。

「母が入院費が払えないと言って泣くんです。胸が締め付けられました。母とTは父の遺族年金の月約16万円で生活していたのですが、それほど生活に困っていたとは知りませんでした。そのとき数十年ぶりに弟と向き合い、母のために助け合おうと話したんです。Tもやっと仕事をする気になり、私が市の就職相談センターに連れて行きました」

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