職探しに2年かかったが、それでもなんとか就職。ところが、働き始めて1週間で、今度はTさんが倒れた。
「入院・治療費として月11万~14万円かかり、母の年金はほぼ消えました。それで母の生活費の3万円は私が払うことに。私だって生活が苦しいのに……。次男は次男で家族を養っているから援助できないと言うし……。わが家まで総倒れになりかけました」
母と弟の世帯を分け生活保護を申請
そんなとき、Tさんの世帯を母と分ければ生活保護が受けられると聞いた。これ幸いと手続きをしたという。これで金銭的な心配をせず、退院後はサービス付き高齢者住宅に入居できた。その際、長谷川さんがTさんの身元引受人にもなった。
「生活保護の申請から施設探しまですべて私がやりました。施設に入れてからも、日常的な“おつかい”、たとえば着替えや漫画、DVDを持っていくとか、髪を切るとか……。そういったことも私がやっています。でないと、母が老体にむちを打ってやりかねない。大切な母に、それだけはさせたくないんです」
金銭的援助や身体的介助をしないといっても、雑用で駆り出されることが多く、ストレスがたまっていった。感謝することのないTさんにいら立ち、時に声を荒らげることもあったが暖簾に腕押し。
「Tは社会に出たことがありませんから、私がやっている手続きがどれほど大変か、施設までの交通費がどれくらいかかり、それが高額なのかどうかなど、相手の立場を配慮できません。だから、私がどんなに大変な思いをして面倒を見ているのか、訴えても理解してもらえない。それも結構つらいんですよね」