健康意識への高まりからスポーツジムなどで1対1の指導をする「パーソナル・トレーニング」が注目を集めている。もしトレーナーの指導が原因でケガをした場合、賠償請求できるのだろうか。実際の法律相談に回答する形で、弁護士の竹下正己氏が解説する。
【相談】
ジムで体を鍛えています。それもパーソナル・トレーナーを付けての本格的なトレーニングです。しかし、そのトレーナーが厳しく、自分で注意していないと、肉離れなどのケガの危険性があるほど。もし、トレーナーの指導が悪く、ケガをしてしまった場合、ジムやトレーナー本人に賠償を請求できますか。
【回答】
マンツーマンでトレーナーから、指導を受けるタイプのトレーニング中に事故が起きれば、ジム側に賠償責任があると考えてよいでしょう。
トレーナーは指導している間、ジムにおいて対象者にトレーニングの方法を指示し、その実行を命じているのですから、その生命と健康を危険から保護するように配慮する義務(安全配慮義務)を負っています。
負荷の大きい筋力トレーニングを慣れない人にさせる場合、指導を誤れば、ケガをさせる可能性があることは容易にわかることですし、指導中に起きた負傷について過失がなかったことを証明できない限り、安全配慮義務違反になる可能性が大きいと思います。
同時に、トレーナーの安全配慮義務違反があると、ジムもその使用者として使用者責任を負います。