ソフトドリンクのなかで、コーラとともに定番となっているジンジャーエールの銘柄もまた、こだわりの対象とする人もいる。都内在住の会社員・Cさん(30代女性)はこう話す。
「子供の頃からジンジャーエールが好きで、大人になってからも外食時は基本的にジンジャーエール。昔ながらの甘口のジンジャーエールが好きで、銘柄ではカナダドライのジンジャーエールのファンです」
最近は、辛口のジンジャーエールや自家製ジンジャーエールを提供する飲食店も増えている。しかし、Cさんにとっては「ソウジャナイ」のだという。
「個人的に辛口のジンジャーエールは刺激が強すぎて飲みにくいし、自家製のジンジャーエールも生姜の風味が強いものが多い。いろいろなジンジャーエールが登場するのはいいのですが、辛口や自家製のジンジャーエールしか置いてない飲食店だと“そうじゃないんだよな……”って思ってしまう。あくまで私の好みですが、“ど定番”の甘口のジンジャーエールは置いておいてほしいです」(Cさん)
複数の銘柄を提供するコスト
ビールやソフトドリンクの銘柄にこだわりたい消費者は少なくないが、ビールやソフトドリンクにおいては、複数の銘柄を提供する飲食店は多くないのが実情だ。外食産業に詳しいフリーライターの小浦大生氏はこう話す。
「日本酒やワインは種類も多く、“選んで飲むこと”が大きな楽しみになっていると広く認識されているため、たくさんの種類を提供することが飲食店のアピールポイントとなります。
一方で、ビールやソフトドリンクの場合、どこか1社の大手メーカーと契約して、そこの商品を提供する飲食店が多い。チェーン店であれば本部とメーカーが契約していますし、個人経営の飲食店でもメーカーと契約して、生ビールサーバーを無償で貸し出してもらったり、メンテナンスをしてもらったりしています。
もちろんメーカーと契約せず、店側が選んだ複数の銘柄を提供したほうが多くのニーズに応えられるわけですが、それだとビールサーバーを自前で用意する必要があるなど、コストがかかってしまう。ビールやソフトドリンクは、日本酒やワインに比べて愛飲者が多いため、複数の銘柄を提供しにくい事情があるんです」
消費者には嗜好があるが、店側にも事情があるということだろう。(了)