中川淳一郎のビールと仕事がある幸せ

「東京ではこんな嫌な思いすることないのに…」 30代女性が直面した「地方の男性中心社会の職場」の現実

何がきっかけで「カラオケ離れ」に?(イメージ)

カラオケが苦手なのに歌うことを強要され…(イメージ)

下ネタ・セクハラも容認する文化が残っている?

 クミコさんが「もうこの仕事は私はやりたくない」と感じる決定打になった出来事がありました。その自治体に東京のプロジェクト参加者が4人訪れ、地元の3人とともに様々な施設や飲食店を取材した時のこと。この時、女性はクミコさん一人です。A氏は店の顔のように「よっ!」と入っていき、東京から来た人々を見ながら、店長に「○○ちゃん、この人たちが食べたこともないようなおいしいもの出してよ」なんて言うのだそうです。さすがに東京の人も「東京の食のレベル、バカにしないでください」と思ったとのこと。

 こうしてA氏主導で取材は進んでいくのですが、何かとクミコさんに「東京のキャリアウーマンはやっぱり食が細いですね」や「地方の女の子の方が愛想いいでしょう?」なんて言ってくる。

 最後はカラオケに行くことになったのですが、東京からの同行者に行きたくない旨をこっそり伝えたところ「いや、Aさんの言うことには従わなくてはいけないんですよ……。イヤでしょうが、お願いします」と言って同行することに。カラオケが苦手なクミコさんは、これまでの人生ではカラオケ屋に行くことは厭わないものの、歌うことは拒否してきました。

 お酒を飲みながら、人の歌を聴く分には楽しく過ごせるので、「私は聴いているだけで大丈夫です。歌いたい方が多く歌えばいいです」というスタンスを続けてきた。しかし、この時はA氏が「そんなのダメですよ。チームとしての一体感のためにはクミコさんも歌わなくてはいけません」と強要してくる。そして渋々なんとか知っている歌を歌ったのですが、話はいつしか下ネタ話に変わっていき、それが延々と続くことになる。

 A氏の下ネタ好きを知っている他の5人は、それに合わせて下ネタを喋る。普段は愛想よく会話に付き合うクミコさんですが、次第に無表情で聞いているフリをするようになり、最後はあえて不快な表情を隠さなかったそうです。かくしてクミコさんは、男性中心社会の職場ではリーダー格の人が強要することに部下が男女問わず従い、下ネタ・セクハラも容認する文化がまだ残っていることを目の当たりにしたのです。

 私も現在、地方に在住していますが、飲みの席に女性が一人だけいると「○○ちゃん、こっち来て!」などとオッサンが呼んで彼女の肩を組んだりするシーンは見たことあります。また、お祝い事で家に集まると、女性陣は台所で溜まっていて、男性が大広間で酒を飲んで騒いでいることも時々ある。やっぱり東京と比べると、地方都市ほど男性中心社会の様相が色濃く残っていることを感じます。

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