吉田みく「誰にだって言い分があります」

高級レストランや飛行機ビジネスクラスを「もったいない」「申し訳ない」と感じてしまう小市民的金銭感覚こそ潔い

フリマアプリで贈り物を買うのはあり?

中川:フリマアプリで薄利多売の出品を続ける専業主婦をはじめ、フリマアプリを利用する人もよく出てきますね。でもオレはフリマアプリを使うのも嫌だし、苦手なんです。あとで売るくらいなら、買う時にもっと吟味しろよ、と思ってしまう。買う側でも、「新品買えばいいのに、ケチだな、貧乏だな」というイメージを持ってしまう。

 そこで売り買いするくらいなら、正規の値段で誰かが新しいものを買ったほうが、経済活動として潤うはずと私は思います。私はスマホを持っていない分、フリマアプリのリテラシーが低く、こう言う発想になってしまうのかもしれませんが……。本にはフリマアプリにハマる妻に腹を立てる夫が出てきますが、吉田さんの取材相手にしては珍しく「いい奴」と共感できました。

吉田:取材時にフリマアプリにまつわるエピソードは多く出てきます。着られなくなった子供服やおもちゃなど、後々売るつもりで家に在庫を大量に保管していたりするケースはよく聞きます。

中川:吉田さんから見たフリマアプリの利点はなんですか。

吉田:やはりベビー服など、利用する期間が限られるものは、買う時は中古でいいし、綺麗なものは売ったりすることができます。使うつもりで新品を購入したけど、結局1回しか使わなかったからフリマアプリで売る、という経験は実際にありました。

 あと、古書の買取サービスでは1冊1円とか2円にしかならない本でも、フリマアプリなら100円や200円で売れるケースもあります。

中川:乳幼児はすぐに大きくなるからベビー服・子供服については、フリマアプリは素晴らしいですね。そして、本については確かにチェーンの古書店やリサイクルショップでは数十円に買い叩かれても、フリマアプリならある程度価値がわかる人が数百円で買ってくれるということはあるかもしれませんね。

吉田:あと、友達への出産祝いをフリマアプリで安く購入した人があとで「未使用品とはいえ失礼だったろうか」と自問自答する記事を出した時は、コメント欄が「新品を贈るのが礼儀」「未使用品なら構わない」などと賛否両論に分かれて盛り上がっていたのが印象的でした。

中川:そういう人のモヤモヤするポイントを突くのが吉田さんは上手なんですね。

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【プロフィール】
中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)/1973年東京都生まれ。ネットニュース編集者。博報堂で企業のPR業務に携わり、2001年に退社。雑誌のライター、「TVブロス」編集者などを経て、2020年からは佐賀県唐津市在住。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『バカざんまい』『よくも言ってくれたよな』など。新刊『過剰反応な人たち』が好評発売中。

吉田みく(よしだ・みく)/埼玉県生まれ。大学では貧困や福祉などの社会問題を学び、現在はフリーライターとして人間関係に独自の視点で切り込んでいる。マネーポストWEBにてコラム「誰にだって言い分があります」を連載中。同連載をまとめた著書『誰にだって言い分があります』(小学館新書)が発売中。

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