母親は正反対の「捨てたい人」だった
幼少時から本とぬいに囲まれて生きてきた新井さんだが、実は母親は正反対の「捨てたい人」だった。
「祖母が何でも捨てずに取っておくタイプだったから、反動で何でも捨てたがるようになったんだと思う。私が油断していると、ぬいも本もどんどん処分してしまう。実家にいた頃は『生きているものを捨ててはいけないでしょう!』と抗議して収集日にゴミ捨て場まで走ったことが何度もあるし、結婚して実家を離れる際は『実家に残しておくと絶対に捨てられてしまう』とぬいを全員連れていきましたが、多すぎて持ち出せなかった本の一部はやはり捨てられました。
ただ、人によってモノへの思い入れが違うということはよくわかる。だから母の行為も仕方がないものと諦めています」
終活を意識して考えること
そうした“埋められない溝”を受け止めつつ、捨てないならば責任をもって保存するのが新井さんのスタンスだ。
「経年劣化やほこりの染みつきでぬいが汚れることは避けられませんが、できるだけきれいな姿でいてほしいからローテーションを組んで専門のクリーナーなどで美化運動をしています。
本も同じで、太陽光に当たると劣化するから書庫には窓をつけたくなかったのですが、消防上必要ということで泣く泣く諦めました。せめてもの努力として書庫内での飲食を禁止して本を汚さないよう気をつけています」
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