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【話題の学術論文】「犬を飼う人は認知症リスクが40%下がる」筆頭著者に訊いてわかった「猫の飼育」との大きな違い

「飼い主が先に逝ってしまったら…」の不安への対処法は

 ただ、高齢者の場合、認知症予防になるからといって、おいそれと犬を飼えないのが現実だ。犬の平均寿命は14.76歳にまで伸びているので(ペットフード協会2022年調べ)、自分が先に寿命を迎えて犬の引き取り手がないと、犬が不幸になると躊躇する人は多い。

 高齢者が新たに犬を飼う場合の、そうした不安を軽減する方法もある。殺処分を待つ犬や、虐待、飼育放棄された犬などを保護している保護団体から、里親として成犬の保護犬を譲り受けるという方法だ。NPO法人ペットライフネットの吉本由美子代表はこう語る。

「高齢者でも子犬から飼いたがる人が多いですが、しつけも含めて子犬の飼育は、体力的にも精神的にも非常に負担が大きいことを知ってほしい。保護犬であれば、しつけが終わって落ち着いた成犬を選ぶことができ、残された寿命も子犬と比べると短い。また、多くの保護団体では、飼い主に万が一のことがあったり、さまざまな事情で飼えなくなったりした際に、犬を引き取ってくれると思います。その際は飼育にかかる費用のいくばくかを寄付されると良いと思います」

 引き取り手がみつからなければ、多くの保護団体は、引き取って新たな譲渡先を探してくれるという。ただ、問題が1つある。

「自治体によっては譲渡先の条件に年齢があり、たとえば、東京都では60歳以下の方でないと譲渡できません。しかし、この条件は厳しすぎて、保護団体では犬が溢れかえっています。大阪府や京都府では年齢制限が撤廃されていますし、後見人を立てれば高齢者でも飼える自治体もあります。ですから、お住まいの自治体に確認してください」(吉本氏)

 犬の飼育にこれほど認知症予防効果があるのなら、介護費や医療費の削減にもつながるはずで、国が支援する制度を作ってもいいのではないか。(了)

取材・文/清水典之(フリーライター)

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