上階住人の騒音が受忍限度を超えているとすれば、あなたに対し不法行為をしていることになります。立ち退きを要求することまでは無理ですが、騒音行為の差し止めのほか、損害の賠償も請求できます。そうであれば、お尋ねの点については、
【1】上階住人の足音が受忍限度を超えており、
【2】平穏な生活を取り戻すためには引っ越しするほかないのでその費用が損害になる
といえることが必要です。しかし、生活騒音の前記の特性から、飛び跳ねるようなことが繰り返されれば別ですが、足音が受忍限度を超えると認められるかは疑問です。
もっとも、上階住人が何度も謝っているので、その自覚はあるのでしょう。謝罪を繰り返しても一向に収まらない以上、引っ越しもやむを得ないと言えないことはありません。上階住人に対して、いくら言っても改善しないから引っ越さざるを得ないことを説明し、引っ越し代を請求しても理不尽な要求ではありません。
応じないときには、オーナーを交えて交渉することをおすすめします。大家は貸主として、賃借人に一定の住環境を提供する義務があります。またマンションの賃貸借契約では賃借人は、ほかの住人に迷惑をかけない使用をすることが求められます。
大家は、迷惑な騒音を出す上階住人を注意し、それに従わなければ契約を解除して明け渡しを請求することも可能です。そこまで要求しなくても、きつく注意させたり、床に絨毯を敷くなどの防音策を講じさせる等の相談ができると思います。
【プロフィール】
竹下正己/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。射手座・B型。
※女性セブン2023年12月14日号