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生前贈与がトラブルにつながる家族の共通項 揉めない鉄則は「自分だけ知らされていない人」を作らない

制度変更の対抗策が揉めごとにつながる懸念も

 暦年贈与については、2024年から新たに課税強化となる制度変更もある。

「これまでは被相続人が亡くなる前の3年以内の贈与については相続財産に含める『3年持ち戻しルール』がありましたが、この持ち戻し期間が段階的に7年に延長されます」(木下氏)

 対抗策はあるが、それがかえって揉めごとにつながる懸念もあるという。

「持ち戻しのルールが適用されるのは、相続で財産を取得する子らへの贈与に限られます。相続で財産を取得しない『孫』への贈与なら、税制上の持ち戻しを気にする必要はない。それゆえ2024年以降は“孫贈与”が増えると考えられますが、たとえば長男のところに孫が3人、長女のところは孫1人といった家族の場合、孫全員に年110万円ずつ贈与すると、長男の家庭と長女の家庭で受け取れる額に大きな差が出てしまいます」(木下氏)

 子供たちの間で、不公平感が強まらないかに注意が必要なのだ。

「お金のやり取りをすべてオープンにして、家族全員が納得しているならいいのですが、そうではないケースが圧倒的に多い。家族会議を開いたり、子や孫とグループLINEを作るなどして、意思を共有していくことが重要になります。

 節税のために家族不和を招いては本末転倒。それなら、生前贈与などせずに税金を払ったほうがマシです」(木下氏)

※週刊ポスト2024年1月1・5日号

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