金権政治の共犯は
欽宗は蔡京一派の粛清を手始めに、国防体制の再構築を図る腹積もりだったようだが、時すでに遅く、蔡京の死から2年後、都の開封が金軍によって陥落。徽宗・欽宗以下、宮廷の人間3000人が北方に拉致されたことで、960年に始まる北宋時代は終わりを告げた。
因果応報とは、まさしくこのような例を言うのだろう。それならば、日本で現在進行中の問題はどのような結末を迎えるだろうか。
今年10月31日、世界最大規模の世論調査会社イプソスが世界31か国2万2816人を対象に実施した「職業信頼調査2023」の結果を公表した。それによれば、最も信頼を得られていない職業は、世界でも日本でも「政治家」だった。日本の場合、ワースト2に「政府の閣僚」がきている。
このような調査結果を見ても、国民の声に背を向けてきた政治家には何も響かないのだろう。しかしわれわれは、金権政治の確信犯が再選されれば、その政治家に投票した有権者も共犯になることを肝に銘じなければならない。それが民主主義国家のルールである。
【プロフィール】
島崎晋(しまざき・すすむ)/1963年、東京生まれ。歴史作家。立教大学文学部史学科卒。旅行代理店勤務、歴史雑誌の編集を経て現在は作家として活動している。『ざんねんな日本史』、『いっきにわかる! 世界史のミカタ』など著書多数。近刊に『featuring満州アヘンスクワッド 昔々アヘンでできたクレイジィな国がありました』(共著)、『イッキにわかる!国際情勢 もし世界が193人の学校だったら』などがある。