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【2024年の株価はどうなる?】弱含みの日本株市場が抱える「懸念材料」と「浮上のカギ」 新NISAスタートが起爆剤となるか

・小型株に対する節税売り

 先述の為替、内閣支持率というものは主に大型株に関係するものだが、小型株にも下落懸念材料はある。それが“節税売り”だ。

 個人投資家の動きとして、毎年12月半ばにかけて大きく損失を被っている銘柄を売却して、他の銘柄の値上がり益や、所得にかかる税金を圧縮する動きが広がる。つまり、大きく株価を下げている銘柄に関しては、12月半ばにかけてさらに売られる恐れが生じる。特に小型株など流動性の高くない銘柄の場合、取引参加者が個人に偏るため、下落に遭いやすい。下落トレンドの小型銘柄にはよく見られる動きであり、このような銘柄を保有している場合には注意が必要である。

日本マーケット躍進のカギ

・アメリカ経済のソフトランディング

 アメリカではインフレが沈静の道を辿り始め、原油価格も一服してきている。失業率も3.7%と、歴史的にも低い状態にある。これまでの急ピッチの金融引締めに対して、米国国経済が景気後退(リセッション)に陥らずに「ソフトランディング」することに期待が高まり、それが株価の上昇となって表れている。また、アメリカ10年債利回りも4%を割り、このことも株式相場にとって追い風となっている。

 前回、アメリカでソフトランディングが実現した1995年は、ITブームの時期と重なり、世界中からアメリカに資金が流入し、ドル高が進行した。今のアメリカではAIブームが当時のITブームに置き換わる可能性を秘めており、状況的に似た環境とも捉えられる。

 アメリカ経済がソフトランディングできれば、ドル高円安基調は維持され、日本の外需産業にとっては追い風となるだろう。このことは外需に支えられる日本の株式相場にとって好材料と言える。

・生産性の向上

「生産性の向上」は日本経済にとって最も重要な課題と言える。少子高齢化は日本の労働人口を減らしていき、人手不足も加速させている。

 最先端のテクノロジーやDXにより人手不足を解消しいかに生産性を高めるかということにスポットが当たっているが、女性の社会進出促進も重要な改題だ。

 女性の社会進出は、全産業の中で最大の比重を占めるサービス業の発展に大きく寄与することになる。そのためにも「夫は外で働き、妻は家庭を守るべき」といった日本固有の性別分業にメスを入れ、環境の整備をすることが急務となる。

 ちなみに日本が政策的に遅れている点のひとつとして、「婚外子」のあり方が挙げられる。婚外子の比率は日本が2.4%なのに対し、欧米主要国ではフランス61.0%、スウェーデン54.5%、イギリス48.2%、アメリカ40.0%、イタリア35.4%、ドイツ33.3%と高く、「女性が産みたい時に子供を産める社会」が実現しており、社会的な不平等もない。このことは、各国で女性の社会進出を促進することにもつながっている。

・「貯蓄から投資」への動きの加速

 支持率が低迷する岸田内閣とはいえ、評価されている政策もある。その1つが新NISA(少額投資非課税制度)だ。日本の家計は諸外国と比べて圧倒的に現預金の割合が高い。こうした実態を踏まえ、政府は「成長と分配の好循環」の実現に向けて、従来のNISAを抜本的に改めた新NISA制度を作った。

 今回の制度変更を機に2024年は家計の多くの現預金が資産形成のための投資に向けられていくと思われる。これは明らかに日本の株式市場にとって好材料であり、上昇の起爆剤ともなり得る。

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